日本の水墨画を研究し、そのエッセンスをシェリーのウェア上に表現しようとした「シェリーの第一号作家」は、まず素直な水墨画の表現である今回のTall Tree & Sunriseを作った。
屏風絵を立てたようなクィーン・アンシェイプも、この作家自身の設計になるはずです。上から見た花びら形のヴィクトリア・シェイプなど華麗なワイルマン時代のカップに続ければ違和感も無く、伝統的フォルムと見える。いきなりの水墨画風風景を展開しようという作者にはふさわしい形であり、しかも違和感を与えない。グッド・アイデアであった。
最初にクィーン・アンとしてこの小さめのカップを作ったが、次の俯瞰タイプを描くにはもっと高さが欲しい。そういうことで、カップの高さだけ1cm高くして新しいクィーン・アンを作り、俯瞰型Tall Tree & Sunriseを描いた。この高さアップのお陰で大胆な俯瞰型が成功し、ダイナミック・デザインが出来た。以後はこの背の高いクィーン・アンが標準カップとなり、空に向かって伸びる樹や、俯瞰風景を絵にするカップとして定着した。
水墨画テイストの作としてはこの2つのTall Tree & Sunriseと、翌年の「夕日と花」で三部作が完成。その後この中心作家は新しいシェイプを最初にデザインし、花の絵や風景画に「陰」を付けて陰影とか奥行きを表現するようになった。
出品者はよく「陰付け作家」という勝手な単語を作って解説していますが、この水墨画作家がその展開として「陰付け」を行うようになった訳です。
シェリー
「高い樹に昇る朝陽 11479」
高さが低いクィーン・アン!これが原型?
「シェリーと言えば」の代表作スタート版
より自然な水墨画風。木の高さから俯瞰へ
シェリーのスタートに工夫重ねる
パターン・ナンバーはこちらが先
これから、シェイプとデザインを変更
★送料は全国無料。クロネコヤマト便でお送りします。
★常時50点以上を出品中。まだ少数ですがフィギュリンも出品中(アンティーク、コレクション > 工芸品 > 陶芸 > 西洋陶磁 > ロイヤル・ドルトン)
★込み入ったご質問やお問い合わせは次のアドレスへメールしてください。(freeway@deluxe.ocn.ne.jp)
モノクロ調で地味に見えますが、とても珍しく、シェリー・ファンにとって貴重な資料でもあるトリオを手に入れましたので、考えをまとめつつ、ご紹介します。
シェリーが1926年に商標登録ナンバー「735404」を得て、この年かその前年に発売を始めた”Tall Tree & Sunrise”(高い樹に昇る朝陽)の未使用トリオ。
これまでにご案内してきた、シェリーがスタートして最初の「クィーン・アン」シェイプの代表作と同じ名前で同じシェイプ。
有名な同名パターンの写真を添付しましたから比べてみてください。
今回のトリオの絵は、景色を描く画家の目が普通の高さにあって、朝陽は黄色も薄く、山から顔を出す位置が「普通」の高さにあります。
代表作とされる添付のパターンは、目の高さが非常に高い位置にあることがすぐ分かります。黄色い朝陽が樹からかなり下に見え、しかも地面側の川あるいは湖の水面に黄色の太陽の光が反射して、「昇る朝陽」がより強調されます。
同じ題名、同じクィーン・アンシェイプなんですがこれはどういうわけか。
手にしたら、これは小さいと感じて物差しを当ててみました。形はしっかりティーカップであり、同シェイプのコーヒーカップとは違う。
高さが6cmで、1cm低い。しかし口径は両者7.5cmで同じ。スクエアなソーサーとサイドプレートの縦横、大きさも同じ。カップの高さのみ低い。
両者に印字された商標登録ナンバーは「723404」で同じだから、ナンバー取得は共に1926年。違うのはパターン・ナンバーで、代表作が「11678」であるのに対し、今回のトリオは「11479」で、こちらが先に作られたことになっている。
そこで少し推測を交え、これらが作られた事情を追求してみました。
日本の水墨画を研究し、そのエッセンスをシェリーのウェア上に表現しようとした「シェリーの第一号作家」は、まず素直な水墨画の表現である今回のTall Tree & Sunriseを作った。
屏風絵を立てたようなクィーン・アンシェイプも、この作家自身の設計になるはずです。上から見た花びら形のヴィクトリア・シェイプなど華麗なワイルマン時代のカップに続ければ違和感も無く、伝統的フォルムと見える。いきなりの水墨画風風景を展開しようという作者にはふさわしい形であり、しかも違和感を与えない。グッド・アイデアであった。
最初にクィーン・アンとしてこの小さめのカップを作ったが、次の俯瞰タイプを描くにはもっと高さが欲しい。そういうことで、カップの高さだけ1cm高くして新しいクィーン・アンを作り、俯瞰型Tall Tree & Sunriseを描いた。この高さアップのお陰で大胆な俯瞰型が成功し、ダイナミック・デザインが出来た。以後はこの背の高いクィーン・アンが標準カップとなり、空に向かって伸びる樹や、俯瞰風景を絵にするカップとして定着した。
水墨画テイストの作としてはこの2つのTall Tree & Sunriseと、翌年の「夕日と花」で三部作が完成。その後この中心作家は新しいシェイプを最初にデザインし、花の絵や風景画に「陰」を付けて陰影とか奥行きを表現するようになった。
出品者はよく「陰付け作家」という勝手な単語を作って解説していますが、この水墨画作家がその展開として「陰付け」を行うようになった訳です。
この小さめのクィーン・アンは、多分これ1作ではないか。そうなると多少マニアックではあるが、このトリオはヒジョ~に貴重ということになります。
購入先の英国の骨董商は、この事にちっとも気づいていない。手にしてみれば「ちっさ~」と感じるはずですが。
出品者は結構真面目に考えて、俯瞰型Tall Tree & Sunriseが、ボーンチャイナになったシェリーの第一作と断定していましたが。この「11479」こそが第一作であるとお詫びし、ここに訂正させていただきます。
クィーン・アンというのは、写真では大きく見えますが、手にすると大きくはない。大きいという印象でいるから、手にすると小さく感じてしまいます。変形八角形で、実用もできるがやはり、「鑑賞する」カップでしょう。
シェリーはアメリカに輸出することを中心にして名陶の地位を確立した窯です。コッテリ女性向き「花のカップ」として好評を得ましたが、有名な各種「ワイルド・フラワー」などはしっかり転写が使われ大量生産されています。しかしこの作家のものはほぼ全てがハンドペイントではないか。
この作家、長く活躍していますから、シェリーに招聘されてこのカップを作った頃は若かったはずです。しかも所謂「アール・デコ」作家ではなく、古いタイプの自ら絵付けもできるアーチストであったと見られます。
水墨画三部作や「陰付け」の花や風景は作者自身が絵付けした可能性もあります、グラデーションが多く、多用した「陰」自体が、絵付け職人では難しいのではないか。
勿論大量生産するためには職人の手が必要です。しかし、作者でなければというパターンや、花の大事なところなどは、この作者自身が手を入れていたように思います。旧世代からの「絵付け」アーチストであったから、勢い、手描き作が多かった。多分、価格も他より高かったのでは。
このトリオのサイズは次の通り。
カップの高さ6cm、口径7.5cm。スクエアなソーサーとサイドプレートはそれぞれ、縦横13cm、15cm。未使用で欠点のない骨董品。
ほかにもたくさん出品しています。ぜひご覧ください。
+ + + この商品説明は オークションプレートメーカー2 で作成しました + + +
No.108.001.002