これは必聴。1944年生れ、米国はイリノイ州シカゴ出身の個性的なジャズサックス奏者、ヘンリースレッギル率いるジャズロックバンド、ZOOIDの2001年発となるデビュー作。編成はヘンリースレッギル(各種サックス)を中心にチェロ、チューバ、ドラムス、アクースティックギター、中近東の民族楽器として知られるウードまで参加した6人編成。専属のベーシストをあえて外してこの音域をチューバが担って独特のリズム感を放ち、ヘンリースレッギル持ち前の変則コンポジション感覚が発揮された唯一無比の内容。ジャズとしてはかなりの異質さというか通り一遍のコンテンポラリー系としても圏外に位置しているこの内容でいえば逆にプログレッシブロックの範疇としてもけっこうインパクトのある音楽性。炸裂はせずに常に脱力感を放ちながら骨折ビートで複雑化していくアンサンブルはほとんど未来派のヘンリーカウか?、ジャズ版ティポグラフィカか?、キャプテンビーフハートか?ってな印象の複雑系変則ジャズロックで、時代が80年代ならRIO系としても通ったかもしれない注目内容。HENRY THREADGILL ZOOID-up popped the two lips(pi recordings)