ドイツ出身のコンテンポラリージャズ系マルチサックス奏者、ミシェールリースラーの94年発となる通算3作目のリーダー作。編成はベース、ドラムス、手回しオルガン、ハーモニカ、に13人編成の管弦スモールオーケストラ、アンサンブル13が合体した93年のライブ録音盤。ほぼ同時期にリリースされているwergo盤三部作のほうは古楽起源のヨーロッパルーツとモダンコンテポラリー的解釈を試み、本作では現代音楽的なコンポジションと前衛ビッグバンドジャズと先鋭ジャズロックが合体したようなこれまた類のない音楽性。フリーインプロ的な部分はほとんど無く、精緻なメカニカルさで様々なモードの綾が絡まったまんま豪快にかっ飛んでいく圧巻の大編成アンサンブルで、ジャズ方向からアプローチされた究極のチェンバープログレッシブジャズロック大傑作。後の98年にリリースされてヘンリーカウの究極形態としてプログレ界隈にインパクトを放ったhonig und ascheと双璧を成すこれまた最重要の一枚。MICHAEL RIESSLER-momentum mobile(enja)