恐らくは米国出身と思われる非常にマイナーなヴィブラフォン奏者、エリックチャールストン率いる六重奏団、ジャズブラジル名義による2019年発となる2作目。編成はベース、ドラムス、パーカッション、ヴィブラフォン、ピアノ、フルート、サックスを擁する布陣。いずれのメンバーもリーダーと同じくらい無名ながらテクニックは過不足無く抜群。というか、そもそも抜群で無ければパスコアルへのアプローチ自体が無理筋というのは当然。このタイトルからも分かるように要するに南米ブラジルの奇才、エルメートパスコアルへのトリビュートをコンセプトに掲げた特別編成によるジャズコンボということで、1作目も同じくパスコアエル楽曲集ということだったので、本作でも全く同じ方向性。収録の楽曲も当然のように全てがパスコアルの作曲によるというレジットはあるものの、本作用に作曲されたものなのかどうか、楽曲単位で調べてみてもパスコアル作品への収録が確認できないものなかり。で、このようなコンセプトを持った場合にどのあたりにフォーカスするのかでだいぶ評価基準が変わってくるというもの。特にこのコンボに於いてはその編曲性能に相当な尽力で挑んでいて、パスコアルサウンドの別の側面を浮かび上がらせてもいるけっこう面白い内容。複雑なリズムの組み合わせや急転直下に変化していくテクニカルフラグメントの連続というイメージの強いパスコアル流儀がここではコンテンポラリージャズ手法を基軸に表面的な激しさは抑えられ、静かな緊張感を孕みながらよりアドリブを主軸にしたモードジャズ調のアプローチでアンサンブルが連動していくといったような激シブ内容。パスコアル関連作を追っている人なら注目の作品。ERIK CHARLSTON JAZZ BRASIL-essentialy hermeto(sunnyside)