戦国『織（田）豊（臣）政権と江戸（徳川）幕府』池上裕子 2002 信長 秀吉 家康 楽市楽座 宣教師 安土城 太閤検地 刀刈 朝鮮出兵 士農工商
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戦国『織（田）豊（臣）政権と江戸（徳川）幕府』池上裕子 2002 信長 秀吉 家康 楽市楽座 宣教師 安土城 太閤検地 刀刈 朝鮮出兵 士農工商
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歴史シリーズ１５で、池上裕子著の単行本『織豊政権と江戸
幕府』（初版・定価２２００円＋税）である。サブ・タイト
ルには「天下統一権力と民衆の相剋」と綴られている。戦国
時代から江戸初期（大坂冬夏の陣～島原の乱まで）を解説。
の歴史学者である。一橋大学大学を卒業後、同大学院修了。
専門は、社会経済史、戦国時代から江戸初期である。相模女
子大学講師、成蹊大学助教授、同教授、同名誉教授を歴任。
中央大学で博士号(史学)も取得している。ちなみに、博士論
文は「戦国時代社会構造の研究」をテーマにした。一連の歴
史研究で角川源義賞を受賞、多数の歴史マンガの監修もして
いる。著書には、本書『織豊政権と江戸幕府』以外にも『戦
国の群像』『戦国時代社会構造の研究』『織田信長』『日本
中近世移行期論』などがある。
●第一章 「天下布武をめざして」
●第二章「都市・流通の世界と信長」
●第三章「地上の神の挫折」
●第四章「関白政権の成立」
●第五章「検地と刀狩」
●第六章「村の世界」
●第七章「秀吉の重商政策と都市の発展」
●第八章「朝鮮出兵と政権の動揺」
●第九章「江戸幕府の成立」
●年表
・おわりに
・参考文献
・索引
「織田が搗き、羽柴（秀吉）こねし天下餅、座って食うは徳
川家康」という格言があるが、これは戦国乱世における三人
の英傑の戦略的互恵関係を説明したのに過ぎない。
著者は、中世社会経済史の専門家なので、通常の歴史家の
アプローチとはちがう。読者によっては、主観的すぎる見方
とのお叱りを受けることもがあるが、彼女は経済マリーで歴
史を論じている。つまり、史学と経済学では土俵がちがうの
でなじめない方いるのも当然だ。
の〝信長論〟である。信長の斬新さは経済戦略においても、
壮大な規制緩和を断行した。楽市楽座で大商人の既得権益を
を排除した。兵農分離により、産業の再編成に先鞭をつけた。
南蛮渡来の火縄銃の改良、建築における先進技術の粋を結集
して、巨大な安土城天主閣の築城、大型鉄鋼船の建造、南蛮
貿易にも活かせる金銀貨幣の鋳造、さらに貿易推進により工
業立国の可能性を見出した。信長は、天下統一の戦いの渦中
でも、流通経済や都市整備にも力を注いだ。まさに、開国開
明の推進者こそ信長であった。
と百姓に一定の配慮をした。通常は五公五民である。それか
ら７０年後の天正三年、浅倉氏滅亡後、一向一揆に手を焼い
た信長は、越前国を完全に統治後に初めての検地を導入した。
信長は晩年まで検地を行なわなかった。百姓たちには、旧来
の年貢のお手盛りを保持し、厳格な搾取をしなかった。これ
は家康の「百姓は生かさぬように殺さぬように・・・」の収
奪経済とは真逆であった。著者は、秀吉・家康の農民支配制
度の改悪を明快に指摘している。
農民支配を拡大し、無謀な朝鮮出兵で多くの若き働き手を失
った。家康は、秀吉路線をほぼ継承しながら、内乱の危険性
の高いキリスト教を禁止させて、鎖国への道へ大きく舵を切
った。
民たちの一切の反乱の芽を摘む完全支配。信長・秀吉・家康
の統治の個性は、戦国から泰平の世の転換期に、村落の自治
にどんな影響を与えたのか。本書は、被支配者の民衆側の視
点から、揺れ動く織豊政権から磐石な徳川幕府の歴史的な意
味と意義を問い直している。
していた帯付の美本に近い「上」である。カバー、本文はす
こぶるキレイだが、経年のうっすらとした埃跡がわずかに天
に見受けられる。あまりに神経質な方は入札を御遠慮して下
さい。送料は当方負担、宅急便コンパクトに変更します。