テリーライリー、スティーブライヒ、フィリップグラスのミニマルフラクタルモードを独自解釈してアナログシンセサイザーを用いたアンサンブルを組織化した異才デイヴィッドボーデン。その彼が率いたアンサンブルがこちらのMOTHER MALLARDS portable masterpiece co.という事で、本作のオリジナルLP盤はEarthquackなるマイナーレーベルから1976年にリリースされていた2作目で、これに4トラック20分ほどの未発トラックを追加して曲順変更、ジャケット変更でCuneiformから2001年にリリースされていたものがこちら。なので単なる再発というよりはデビュー作のCuneiform盤再発CDと同様、エクスパンデッドエディションでの完全版としたほうがより作品としての正確な位置ずけに。編成はこの後のこのチームの基本編成となるモジューラーシンセ、ミニムーグ、テープエコー、最初期のシーケンサー、エレクトリックピアノなどの布陣。内容はどのアルバムも一貫していて、特に本2作目に於いては上記デビュー作と表裏一体ともいえる音楽性で、本作に於いても上記ミニマリストからの影響下にある反復ズレフレーズを用いて螺旋上昇下降を繰り返し、意識のサイケデリック領域へと位相転移状態に陥るかのような恍惚郷へ。という意味でいえばミニマルミュージック本流の反復ズレ構造を用いたプログレッシブロック的な電子音響化、或いはマイケルゴードンと同じく最もプログレシブロックへと接近したアカデミックなミニマルミュージック形態の一つとも言うべき音楽性といえばそのものズバリ。なので例えばプログレ筋で言うなら中期アシュラ、タンジェリンドリーム、エルドン、リシャールピナス、果てはマイクオールドフィールドのミニマル構造に興味を惹かれる人にとってはこんなにもヤバイ音楽は無いといっても良いほど。MOTHER MALLARDS portable masterpiece co.-like a duck to water 1974-1976(cuneiform)