テリーライリー、スティーブライヒ、フィリップグラスのミニマルフラクタルモードを独自解釈してアナログシンセサイザーを用いたアンサンブルを組織化した異才デイヴィッドボーデン。その彼が率いたアンサンブルがこちらのMOTHER MALLARDS portable masterpiece co.という事で、このユニットの通算7作目がこちら。リリースはarbiterから2003年のリリースだったもので、収録の大作全2曲は本作でしか聴けないそれまで未発テイクだったもの。編成はジャケット写真のとうりで、モジューラーシンセ、ミニムーグ、テープエコー、最初期のシーケンサー、エレクトリックピアノに加えて男女混成のコーラス隊が加わった編成。楽曲は前半18分、後半22分の2トラックからなる大作、The Continuing Story of Counterpointと、最終曲はC.A.G.Eパート3を収録。The Continuing Storyのほうは上記ミニマリストからの影響下にある反復ズレフレーズを用いて螺旋上昇し、意識下のサイケデリック領域へ位相転移状態に陥るかのような恍惚郷へ。後半はこれに加えて女性ヴォーカリストがソロシンギングによる一本線を描き、さらにコーラス隊が声を重ねていくという衝撃的な展開で、聴きようによってはマグマ、オファーリング、カンタベリー派みたいな要素までも!ってことでいえばミニマルミュージック本流の反復ズレ構造を用いたプログレッシブロック的な電子音響化、或いはマイケルゴードンと同じく最もプログレシブロックへと接近したアカデミックなミニマルミュージック形態の一つとも言うべき音楽性といえばそのものズバリ。なので例えばプログレ筋で言うなら中期アシュラ、タンジェリンドリーム、エルドン、リシャールピナス、果てはマイクオールドフィールドのミニマル構造に興味を惹かれる人にとってはこんなにもヤバイ音楽は無いといっても良いほど。MOTHER MALLARDS portable masterpiece co.-music by david borden(arbitel)