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飛鳥の水時計/宮殿・寺院以外で政治史に記載された事項が解明されたことは初めてでその点からも特筆すべき遺跡の紹介ができることとなった
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昭和58年 35P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
序
辺和56年冬、飛鳥水落遺跡でわが国最初の水時計の遺構がみつかったことは、記憶に新しい。この遺跡は、昭和47年、家屋新築の申請に伴ない発掘したところ大きな石貼の溝を四角く巡らせた類のない建物跡がみつかり、国の史跡にされた。このたび、遺跡を整備して一般に公開することになり、昭和56年秋、建物の性格を確かめる発掘調査をおこなったところ、地下に木樋の暗渠をつくり、中央に黒漆塗りの木箱を収め、銅管をつかった今までに例のない施設であることが判明した。さらに、四角い建物は、地下に礎石を埋め込み、その
は石を地中梁で固めた堅固な建物であることも明らかになった。これらを総合 して、斉明6年(660)、中大兄皇子によってはじめてつくられた漏刻台の記事に 符合する遺跡ではないかと判断したのであった。しかし、水時計そのものは、 地下に僅かしか残っていないため、水時計の構造の検討には、科学史、流体力学の専門家など、多くの方々の御指導を賜った。
飛鳥における発掘調査では、多くの成果が挙ってきているが、宮殿、寺院以外で政治史に記載された事項が解明されたことははじめてで、その点からも特 筆すべき遺跡の紹介ができることとなった。加えて、わが国科学史にも貴重な 一頁を飾ることができると自負している。
刊行に際して格別の御理解と御厚意を賜った関係各位に対し、改めて謝意を表すとともに、今後一層の御協力、御鞭撻の程を願ってやまない。
昭和58年10月
奈良国立文化財研究所長
坪井清足
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