高円寺百景、是巨人などなどを率いて世界中を股にかけて活躍する異能ドラマーにして作曲家の吉田達也が80年代にYBO2とほぼ同時並行で進めていた自身のプロジェクト、RUINSの86年リリースのデビューシングル盤に続いて87年にリリースされたミニアルバムで、実質的にはフルレングスアルバムとして完全な形となる3作目へと至る前段階の2人アンサンブル実験の様々な結果が詰まった重要作。ある種音楽的な統一感を感じさせる重厚でノイジーな3作目と4作目よりも風通しが良くて軽快であり、尚且つクリアで立体的な録音効果が抜群なこの方向性が再開されるのは、92年の傑作、バーニングストーンまで待たねばならないというその後のルインズの基軸となったほどの内容。で、本掲載版はこのオリジナル音源に加えてボーナストラックとして上記シングル盤音源とSSEのオムニバスアルバムからルインズのトラックを抜粋し、さらに蔵出し未発音源を数曲加えて全29トラック64分の大ボリュームで再発CD化したものがこちらのCD盤で、リリースはSSEから93年にリリースされていた1枚。内容は2人アンサンブルというのが信じられない音圧と音数、想像を絶するほど急激な奇数拍のモンタージュ感覚をノイジーなファズベースに古今東西プログレッシブロックのエッセンスを独自解釈して超高高速回転しながら後光を放つような吉田達也のドラミングの組み合わせという凄まじさ。80年代当時にはこんな音楽は何処にもなかったどころか、現在のマスロックの要素が全て完全な形で完成されてもいるというその開闢の祖ともいえる存在。RUINS-2 and 19 numbers(SSE)