イタリア出身、2010年代以降に結成された21世紀型サーフィンパンク系ジャズロックプログレバンド、パラフルミーニの2017年発となるデビュー作。リリースは90年代イタリアンプログレを牽引し、あまり有名でない隠れた秀逸作をラインナップしているLizardからで、本作もまさにこの系譜に位置する注目作。編成はドラムス、ギター、ベースによる3人編成で、これにゲストにサックス奏者2人、ギター、ピアノ、キーボード奏者などなどが楽曲毎に振り分けられながらの参加。いずれの奏者も非常に無名なうえに他のイタリアンプログレバンドなどへの絡みも無い人たちと思っていたら、このうちかろうじてアルフォンソカパッソ(ベース)はエゴバンドのメンバーでレンゾゼノービのアルバムにも参加しているちょい知られたお人。さらにもう一人は70sイタリアンプログレ伝説渦中の巨魁、Areaのパトリツイオファリセッリ(ピアノ、キーボード)が参加しているという事でなぜにこの大物がこんな一介のマイナーなバンドのデビュー作に参加していたのかは非常に興味深いところ。で、内容の方はまずもってプログレのメインストリーム的価値尺度では評価されないタイプで、なんとも超変テコなのに格好良さのツボを巧みに突いてくるジャズロック系といったような実に困った音楽性。演奏面では特にギターセンスはヴェンチャーズみたいなテケテケしたサーフィンロック調の軽快な乗りを見せ、リズムセクションは奇数拍を巧みに交えながら炸裂型のグルーヴ感を放ち、このうえに乗っかっていくサックスと本気モードで迫るファリセッリのピアノ(数曲のみ)もアレア好きが俄然盛り上がるほどの熱演。この音楽性は端的に言ってヴェンチャーズがネイキッドシティーをカヴァーしたけど上手くいかずにコネクリ回しているうちに何故かサーフィンパンク化したジャズロックを演奏するRUSHみたいになっちゃったようなってもう無理筋すぎる内容。必聴!!! PARAFUIMINI-tenere fuori dalla portata dei bambini(lizard)