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青山誠
浪花千栄子昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優
辛い幼少期を経て、やがて少女は舞台のスポットライトを浴びる。松竹新喜劇の旗揚げから、溝口健二や小津安二郎、黒澤明ら巨匠たちの名作映画への出演まで。昭和を彩った、大阪の名女優の波瀾万丈の軌跡。
昭和の演劇界で異色の輝きを放った“おちえさん”のたくましく美しい生涯
2020年秋スタート!NHK朝ドラの主人公のモデル・浪花千栄子とは、どんな人物だったのか?
逆境に負けず、華開いた不屈の女優一代記
幼いうちから奉公に出され、辛酸をなめながらも、けして絶望することなく忍耐の生活をおくった少女“キクノ”。
やがて彼女は銀幕のヒロインとなり、演劇界でも舞台のスポットライトを一身に浴びる存在となる。
松竹新喜劇の旗揚げから、溝口健二や小津安二郎、黒澤明ら巨匠たちの名作映画への出演、
お茶の間でもおなじみとなったオロナイン軟膏のテレビCMまで。
昭和を彩った名女優・浪花千栄子の波瀾万丈の生涯をたどる。
口絵 写真でたどる浪花千栄子の足跡
第1章 貧困も屈辱も、すべては芸の肥やしに
第2章 人生を変えた京都への逃避行
第3章 女優修業と初恋
第4章渋谷天外との愛憎劇
第5章 女優としての再出発
第6章 安住の地で見つけた幸せ
登場する方々
松竹歌劇団 藤山寛美 杉本良吉 岡田嘉子
渋谷天外 曾我廼家十吾 曾我廼家五郎
市川百々之助 水上勉 牧野省三 井上松之助
花菱アチャコ 横山エンタツ 京マチ子 黒澤明
三船敏郎 阪東妻三郎 溝口健二 木下恵介
小津安二郎 長谷川幸延 桂春団治 織田作之助
淡島千景 森繁久彌 大河内傳次郎 緒形拳
レビューより
浪花さんの前半生は悲惨である。今なら児童虐待、不当労働で摘発されるかもしれない。彼女が生まれたのは明治40年(1907年)であるから、そういうことは多く見られただろうが、小学校にも行かせてもらえず9歳で大阪道頓堀のお茶子として働くというのはあまりにも酷だ。しかも、給料も出なかったという。(朝ドラではヒロインが働く芝居茶屋の主人たちは皆優しいが、実際浪花さんが働いたところがひどい職場だったことが、この本には書かれている。朝ドラとの違いを見つけるのも、この本の読みどころ)
父親に、継母に、時代に、夫に裏切られ、悩まされながらも逞しく、最期まで女優として生き抜いた浪花千栄子さんには尊敬の一言。
それにしても当時の一部の人たちの人間性、品格はひどいものだ。現代だったら連日のように謝罪して、社会から抹殺されてそうだ。