この『COLD CUTS』の製作に関しては三つの時期に分けられ、その時期に合わせて三つのバージョンが存在します。本作は、その三つをそれぞれバージョンごとに収録して、この複雑な『COLD CUTS』の流れを俯瞰できるものとなっています。 まずディスク1は1978年に作られたというバージョンです。リンダの「ORIENTAL NIGHTFISH」やデニーの「SEND ME THE HEART」、それに「TOMORROW」のインスト・バージョンなどが収録されているのが特長で、よりバンドを意識した作りになっています。ディスク2は1980年に作られながらポールの日本での逮捕、ジョンの死やウイングスの消滅でお蔵入りしたバージョンです。「A LOVE FOR YOU」「CAGE」など未発表曲が追加され、ポール単独のアルバムになっています。従来の1980年バージョンを収録したタイトルは一様にピッチが狂っていましたが、今回は本来の正確なものに補正してあります。そして最も有名なのはディスク3に収録されている1980年代半ばに作られたものではないでしょうか。厚い音作りのミックスはこのままリリースしても遜色のない完成度。さらにディスク4にはこの三つのバージョンから漏れた関連ミックスや別テイクを収録。まさにコンプリート。これさえあれば他の関連ブートは不要になります。