カントリー・レジェンド、マール・ハガードがタイトル通り自身のルーツである曲をカヴァーして2001年に発売した作品。レフティ・フリッゼルが1950年代初期に発売した曲を中心に、ハンク・ウィリアムス、ハンク・トンプソン等の曲と自作曲をバランス良く収録し極上のカントリーを聴かせる。マール・ハガードというアーティストは、カントリー・ミュージックにそれほどのめり込んでいない音楽ファンにも広く知られている名前だと思う。マール・ハガードの他にも、例えばジミー・ロジャース、ハンク・ウィリアムス、ジョニー・キャッシュ、ウィリー・ネルソン…この辺りはロック・ファンにも比較的お馴染みの名前だと思う。2011年にハンク・ウィリアムスが生前に残していた歌詞に曲を付けて1枚の作品として発売された『ザ・ロスト・ノートブックス・オブ・ハンク・ウィリアムス』にボブ・ディランやレヴォン・ヘルム、ノラ・ジョーンズ、シェリル・クロウなどに混じってマール・ハガードが参加していたのをすぐに思い出す方も多いだろう。本作『ルーツ、ヴォリューム1』はそのタイトルからも分かるようにマール・ハガードのルーツであるカントリー・ミュージック、それもレフティ・フリッゼル、ハンク・ウィリアムス、ハンク・トンプソン等のカヴァー曲をメインに収録しており、そこにプラスして3曲のオリジナル曲を収録したものだ。レフティ・フリッゼルのオリジナル・ギタリストであるノーム・スティーブンスも参加している。レフティ・フリッゼルはザ・バンドなどでお馴染みの「ロング・ブラック・ヴェイル」のヒット曲で知られている。マール・ハガードが本作でカヴァーした曲はフリッゼルの実質的なファースト・アルバム『Listen To Lefty』(1952年)からの曲が中心。そのすべてが1950年と1951年にシングル発売された曲だ。ちなみにM5は「I Want To Be With You Always」のB面に収録されていた曲。ハンク・ウィリアムスの曲はM6「Honky Tonkin'」、ハンク・トンプソンの曲はM8「I'll Sign My Heart Away」で残りがオリジナル曲となっている。これらの曲がバランス良く収録されており、1960年代から活躍するマール・ハガードが培ってきた独特の歌声と共に極上のカントリーを聴かせている。