「物語の全編を通して、サッチモが歌うWhat a Wonderful World(この素晴らしき世界)が流れているとでも言いたいほどの、本作の暗く哀しい詩情をいっさいの先入観抜きで味わっていただきたい・・・。シリーズのなかの一作だが、独立して読めることは請け合う。もっとも、読了後、ああ、シリーズを最初から読んでおけばよかった(もっと感動できた)のにと悔やむことになっても、筆者は責任を持てないので、念のため。」(古沢嘉通; 訳者)
★著者、マイクル・コナリー(Michael Connelly)は、1956年生まれ、フィラデルフィア出身。1980年、フロリダ大学でジャ-ナリズムを専攻したが、そのきっかけは在学中にレイモンド・チャンドラーの小説に出会い作家となる決意をしたためという。卒業後、フロリダで新聞記者となり、当時「コカイン戦争」の只中にあった南フロリダ地区の犯罪や警察について記事を書き続け、1986年には手がけた記事がピューリツァー賞候補に推されることに。これによりジャーナリストとしての地位を高め、ロサンゼルス・タイムス社の犯罪担当記者となり、チャンドラーが描いた街LAに赴くこととなった。LAで3年間の記者経験の後、ロサンゼルス市警察(LAPD)の刑事ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュを主人公とした小説を書き始める。 1992年、シリーズ第1作となる“The Black Echo”(邦題『ナイトホークス』)を発表。実際に起きた事件を題材として描いた本作は、初版僅か15,000部、また全米広告の露出がなかったにも拘らず各書評で非常に高い評価を得、アメリカ探偵作家クラブ(Mystery Writers of America、MWA)のエドガー賞(The Edgar Award)処女長編賞を獲得した。その後同シリーズは怒涛のヒットを続け、現在までに35ケ国で翻訳されている。2003-04年にはMWAの会長も務めた。
★内容: 「当代最高のハードボイルド」といわれるハリー・ボッシュ・シリーズ。ハリウッド署の刑事を退職し、私立探偵となったボッシュには、どうしても心残りな未解決事件があった。ある若い黒人女性の惨殺事件と、その捜査中に目の前で映画の撮影現場から奪われた200万ドル強奪事件。一見無関係な2つの事件を結ぶカギは何か・・・。独自に捜査することを決心した途端にロス市警のみならず、FBIからも激しい妨害と警告を受けるボッシュ。孤独な捜査を進める彼に貴重なヒントを与えてくれたのは、今は全身不随の身となった元刑事のクロスだった。が、その身辺にも危険が迫る。たくさんのもつれた糸が絡み合い、人の心の闇を炙り出す。現代ハードボイルドの最高峰。
「物語の全編を通して、サッチモが歌うWhat a Wonderful World(この素晴らしき世界)が流れているとでも言いたいほどの、本作の暗く哀しい詩情をいっさいの先入観抜きで味わっていただきたい・・・。シリーズのなかの一作だが、独立して読めることは請け合う。もっとも、読了後、ああ、シリーズを最初から読んでおけばよかった(もっと感動できた)のにと悔やむことになっても、筆者は責任を持てないので、念のため。」(古沢嘉通; 訳者)
★『ハリー・ボッシュ・シリーズ』は、マイクル・コナリーによる、LAPD(ロサンゼルス市警察)刑事ハリー・ボッシュを主人公とするミステリー、ハードボイルド小説シリーズ。ただし、このシリーズにおいては、主人公ハリー・ボッシュ以外の登場人物 ― 読者なら既にご存知であろうが、捜査官レイチェル・ウォリング、元捜査官テリー・マッケイレブ、記者ジャック・マカヴォイ、アウトサイダーのキャシー・ブラック、弁護士ミッキー・ハラーなど ― がいわゆる「スピン・オフ」し、ハリー・ボッシュ・シリーズ以外の独自作品群の主人公となって、コナリーの世界を拡大・深化させていくのである。これらの関連シリーズを合わせると、現在35作(内、邦訳33作)となっている。コナリー・ファンをやめられない理由がここにもある。
★主人公ハリー・ボッシュは、本名がヒエロニムス・ボッシュ(Hieronymus Bosch、ルネサンス期フランドルの著名な画家と同姓同名)。暗く複雑な生い立ちと、ベトナム戦争で極限状態を生き抜いた経験が性格に陰を落とす。組織に馴染まず上司や同僚と衝突することもしばしばだが、一人事件の真相へ向けて突っ走る男の中の男。シリーズ初期では、犯罪事件のストーリーと並行して主人公のトラウマや人間性も次第に浮彫りになっていく。マンネリと無縁の物語が次々に展開し、読者はボッシュとともに現代を疾走する気分や錯覚に酔う。。だが、逆境と戦うボッシュにもLA市街を見下ろす小粋な自宅に帰宅し、好きなCDを聞きながらデッキでビールを飲み、遠くで暮らす“家族”を想うひと時が訪れる。読者もその場所と時間に居合わせて、ほろ苦くも甘美な癒しを味わうのである。
★著者、マイクル・コナリー(Michael Connelly)は、1956年生まれ、フィラデルフィア出身。1980年、フロリダ大学でジャ-ナリズムを専攻したが、そのきっかけは在学中にレイモンド・チャンドラーの小説に出会い作家となる決意をしたためという。卒業後、フロリダで新聞記者となり、当時「コカイン戦争」の只中にあった南フロリダ地区の犯罪や警察について記事を書き続け、1986年には手がけた記事がピューリツァー賞候補に推されることに。これによりジャーナリストとしての地位を高め、ロサンゼルス・タイムス社の犯罪担当記者となり、チャンドラーが描いた街LAに赴くこととなった。LAで3年間の記者経験の後、ロサンゼルス市警察(LAPD)の刑事ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュを主人公とした小説を書き始める。 1992年、シリーズ第1作となる“The Black Echo”(邦題『ナイトホークス』)を発表。実際に起きた事件を題材として描いた本作は、初版僅か15,000部、また全米広告の露出がなかったにも拘らず各書評で非常に高い評価を得、アメリカ探偵作家クラブ(Mystery Writers of America、MWA)のエドガー賞(The Edgar Award)処女長編賞を獲得した。その後同シリーズは怒涛のヒットを続け、現在までに35ケ国で翻訳されている。2003-04年にはMWAの会長も務めた。
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