そんな本作が撮影されたのは、もちろん「2023年12月2日マディソン・スクエア・ガーデン(以後、MSG)公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。この日はKISSのラスト・コンサートということで全世界に生配信されたわけですが、同時に最後のツアー“End of the Road World Tour”の千秋楽でもありました。ツアーは2019年から始まり、新型コロナ・パンデミックによる中断も挟み、丸5年も費やす一大プロジェクトとなりました。特にパンデミック後に再開してからは名作プロショットが何作も登場。良い機会でもありますので、ツアー再開後の歩みを振り返りながらプロショット・コレクションを整理してみましょう。
●2020年
・2月1日-3月10日:北米#1(21公演)
・12月31日:ドバイ公演 ←※LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI
●2021年
・8月18日ー10月16日:北米#2(24公演)
・10月29日ー11月1日:KISS KRUISE(3公演)
●2022年
・4月19日ー5月7日:南米#1(9公演)←※BUENOS AIRES 2022
・5月11日ー19日:北米#3(5公演)
・6月1日ー7月21日:欧州#1(24公演)
・8月20日ー9月10日:豪州(9公演)
・9月21日ー10月7日:北米#4(3公演)
・11月30日:東京公演 ←※TOKYO DOME 2022
・12月4日:トルカ公演
●2023年
・4月12日ー30日:南米#2(8公演)
・5月27日:コロンバス公演
・6月5日ー7月15日:欧州#2(21公演)
・9月1日:クランドン公演
・10月7日:シドニー公演
・10月13日:ドバイ公演
・10月19日ー12月2日:北米#5(25公演)←★ココ★
これが2020年代のKISS。本作はもちろん最後の最後となる「北米#5」の25公演目。パンデミック後の再始動一発目でもあった無観客ライヴ『2020 GOODBYE: LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI』を筆頭に、その後はブエノスアイレス公演やアンコール来日からも長尺プロショットが誕生。本作で4作目になります。
・地獄の軍団:Detroit Rock City/Shout It Out Loud/God Of Thunder/Do You Love Me
・その他:Rock And Roll All Night/Calling Dr. Love/Makin' Love(★★)/Love Gun/I Was Made For Lovin' You
●その他(6曲)
・80年代:War Machine/I Love It Loud/Lick It Up/Heaven's On Fire
・90年代以降:Psycho Circus(★)/Say Yeah!
※注:「★」印は『BUENOS AIRES 2022: LIVE WEBCAST』で観られなかった曲。特に「★★」印は『2020 GOODBYE: LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI』にもなかった曲。
……と、このようになっています。当日は上記に加えて「Beth」も演奏されており、アンコール来日の『TOKYO DOME 2022』と同一でした。もちろんセットは日本と同じでも、ライヴ内容はまったく違う。ポールやジーンも1曲1曲に万感の想いを込め、MCもえらく力が入っている。「コレが最後」の気迫はバンドだけではないようで、ポールの指先1本にまで大歓声を贈る観客たちのテンションも凄まじく、カメラワークやスイッチングまでやけにダイナミック。この場に居合わせた全員が全力で臨み、燃え上がるフルショウなのです。