1954年生まれで2016年に故人となった旧東ドイツはハーレ出身のジャズ系トロンボーン奏者、コンラットバウアーとは兄弟としても知られるヨハネスバウアー、1945年生まれで2000年に故人となったフランス出身のアヴァンギャルド系ヴォイスパフォーマー、アニックノザティ、1957年生まれで2022年に故人となったユーロピアンフリーインプロヴィゼーション草創期からの著名の一人でピアニストのフレットファンホーフェによるこの3人名義としては唯一のアルバム。リリースはドイツFMPからで、現在ではやや入手困難なうえにLP盤は存在せず。ヨハネスバウアーはさほど有名ではないものの、キースティペット、ペーターブロッツマン、バリーガイ、セシルテイラーなどとも録音を残している強者で、やはり本作に於ても微分音からピッチベンドを駆使した特殊奏法を響かせるなど、ポールラザフォードにも匹敵する存在。で、ほかに注目が集まるのはフレットファンホーフェの演奏で、これがとにかくスゴイ。勝手に指が動いちゃってってばかりに激速パッセージからヘベレケ状態の泥酔フレーズを経て急に演奏を止めちゃったりとかって事で、凄まじい振幅のまんまに意識のトランス状態へと潜航していくこの人のピアノはヤバすぎ。で、さらにこれらをどこ吹く風って感じで別世界へと降臨するアニックノザティの憑依現象ヴォーカリゼーションって組み合わせの異常事態。占めてトータル71分、15パーツからなる組曲構成コンセプトのフリーインプロっていうのもちょっと変。とにかくフレットファンホーフェ関連作を追いかけているコレクターならハズシの効かない重要作がこちら。JOHANNES BAUER ANNICK NOZATI FRED VAN HOVE-organo pleno(FMP)