「白痴」上下2巻 ◆ドストエフスキー（新潮文庫）

ドストエフスキー著、「白痴」上下2巻です。木村浩訳、新潮文庫。状態は、未使用に近く、非常に良好です。送料はクリックポストで185円です。

★内容：　スイスの精神療養所で成人したムイシュキン公爵は、ロシアの現実についで何の知識も持たずに故郷に帰ってくる。純真で無垢な心を持った公爵は、すべての人から愛され、彼らの魂をゆさぶるが、ロシア的因習のなかにある人々は、そのためにかえって混乱し騒動の渦をまき起す。この騒動は、汚辱のなかにあっても誇りを失わない美貌の女性ナスターシャをめぐってさらに深まっていく。エゴイズムと粗暴さの権化である商人ロゴージン、誇り高い将軍家令嬢アグラーヤ。彼らは、ムイシュキン公爵とナスターシャのとの仲に翻弄され、ついにロゴージンは、二人の結婚式の当日、ナスターシャを奪い去り刺し殺してしまう。著者によって〈白痴（ばか）〉と呼ばれるムイシュキン公爵は、「無条件に美しい人間」を現代において創造しようとするドストエフスキーの悲願の結晶でもあった。

レフ・トルストイは本作について、「これはダイヤモンドだ。その値打ちを知っているものにとっては何千というダイヤモンドに匹敵する」と評したといわれる。題名の『白痴』には2つの意味がある。主人公ムイシュキン公爵が文字通り知能が著しく劣っているというもの（現代ではこの意味での「白痴」は差別的意味に捉えられることもある）と、「世間知らずのおばかさん」という意味である。しかし、作者はどちらの意味においても否定的に描いていない。ドストエフスキーは、白痴であるムイシュキン公爵を、誰からも好かれる文句なしの善人として描いた。ドストエフスキーは、文句なしの善人である主人公ムイシュキン公爵を造型することにより、そんな人物が当時のロシア社会に現れたとしたら、いかに周囲に波乱を巻き起こすかを描こうとしたという。

★著者、フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー（英語表記； Fyodor Mikhailovich Dostoevsky、1821 - 1881年）は、ロシアの小説家・思想家。代表作は『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』など。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。その著作は、当時広まっていた理性万能主義（社会主義）思想に影響を受けた知識階級（インテリ）の暴力的な革命を否定し、キリスト教、ことに正教に基づく魂の救済を訴えているとされる。実存主義の先駆者と評されることもある。反ユダヤ主義者としても知られる。16歳でペテルブルグの工兵学校に入り、卒業後陸軍中尉として工兵局に勤務したが1年足らずで退職。 1845年処女作『貧しき人々』を完成、作家的地位を確立した。 1849年、空想的社会主義者のサークルに参加したかどで死刑宣告を受け、処刑直前に減刑されてシベリアに流刑。 1859年に帰還しその2年後、兄ミハイルとともに『時代』誌を創刊。長編『虐げられし人々』 、『死の家の記録』を連載し、文壇に復帰。その後『時代』誌の発禁後に刊行された『世紀』誌に『地下室の手記』を発表、以後の作品の方向を決定した。

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