これはド傑作。恐らくは米国出身と思われる超個性派ドラムス奏者、マイクプライドの2013年発となるソロ名義リーダー作。前半33分の大曲の編成はドラムス、ゴングを担当する6人の奏者、に加えてドラムス、オルガン、ヴォーカル、パーカッション、ゴング、ノイズフルートを操るマイクプライドご本人、ギター奏者1人、ヴォーカルとパーカッション担当2人という布陣。もうこの編成からもわかるように普通のジャズやロックの文脈からは大きく外れた音楽性で、もしもそこにアヴァンギャルドなんて冠が付いていたとしても、そこからもさらにハミ出してもいるというヤバイ代物。演奏はドラムスセクションが中心となってとにかく音を途切れさせないように凄まじい連打を重ねていき、この中に音の原型を留めないほどの特殊奏法で対応するゴング、ギター、オルガン、ノイズフルートが溶け込み、さらに絶叫型のヴォーカルが炸裂していくといった展開で、端的に言ってある種のドローンミュージックの一形態とは言えるものの、それらが本質的に伴うインナートリップ的な瞑想感とは真逆のジョンゾーン的なハードコアの坩堝へ向かっていくような凄まじいイメージの音像。2曲目は26分の大曲でこちらの編成はバスドラム、タムタム、コントラバス、ギター、パファーマー数名による演奏。1曲目に比較するとこちらはクールダウンした演奏ではあるものの、やはりドローン状の音型は維持していて、そこに間延びしたような感覚で散発的に音が重ねられるといった展開。なぜか雅楽のタイム感と同じような感覚があってボア~っとしているところに後半部分に突如男女数名でのヴォーカリゼーションが勃発するといった展開。総じてこんな変な音楽性には滅多にお目にかかれないというか、フリージャズでも無ければ現代音楽でも無いカテゴライズ無効のミュータント的変種。必聴!!! MIKE PRIDE-drummers corpse(aum fidelity)