米国出身の中近東サイケデリックな特異なジャズコンボ、イーストニューヨークアンサンブルデミュージックの74年発となる幻の唯一作。オリジナルLP盤はアメリカ国営のスミソニアン博物館が運営するフォークウェイズレーベルから74年にリリースされていたもので、現在では状態が良ければ軽く6ケタプライスへ直行となる爆レア物件として有名な1枚。で、こちらの再発CD盤はIkefから2004年にリリースされていたものにオビと解説書を付けた日本のViVid Soundからのリリース。因みにこちらも現在ではやや入手困難。CD盤ジャケットのほうはオリジナルLP盤のジャケットどうりにとはいかなかったようでちょい絵柄と色調をいじってはいるものの、これはこれで元の怪しさを受け継いだ悪くないデザイン。編成はコントラバス、ドラムス2人、コンガ、ゴング、ヴィブラフォン、サックス、フルート、コリアンリードを擁する布陣。いずれの奏者も非常に無名で、特に他のアメリカジャズシーンとの関りが確認できない面々。この中では唯一、このバンドのリーダーと思われるサックス奏者のビラールアブドゥラーマンだけはビリーバンのサバイバルアンサンブルへ参加しているのと、50年代からアーメッドアブドゥラマリクのコンボへ参加しているらしく、他にはフォークウェイズに民族音楽系のアルバムを残しているのが確認できる程度。内容はこの怪しいジャケットの雰囲気をそのまんま音に置き換えたような中近東モードやアフロ~オリエンタルジャズ調のリズムを練り込んだエスニックジャズ系で、特にヘビ使い系の管楽器がヒョロヒョロ~っとしたフレーズで回転していく感じなんかも含めて絶妙。とまれ本作、近年ではスピリチュアルジャズ系コレクター筋には崇められていた存在ではあるものの、この音のテクスチャーは非常にドープなサイケ感そのものでもあり、そのまんまサイケプログレシーンへと横スベリしていけばその手の好き物が放っては置かないというか、例えばこの中近東サイケでジャジーなテクスチャーはそのまんまEmbryoやクラーンのデビュー作にも通じていていく印象。EAST NEW YORK ENSEMBLE DE MUSIC-at the helm(vivid sound)