『末期のバッドフィンガーが、マネージメントに纏わる諸問題に悩まされたという話はファンには有名だが、[ヘッド・ファースト]は、そうした問題に起因するピートハム~ボブ・ジャクソンの加入~ハムの復帰~ジョーイ・モーランドも脱退を経て、74年末に約2週間で録音されたもの。最後にラフ・ミックスまで作られたものの、やはりマネージャー絡みの問題を理由に(作品の質とは無関係に)所属レーベルに発売を拒まれ、以来未発表だった、グループの事実上の最終作である。LPタイトル、ジャケット[1]の②⑤と、マネージャーへの憤り、状況に対する不安や苛立ちを表わした部分が目立つ一方、[1]①のような強力なポップ・ロック曲もしっかり含まれており、デモ録音を纏めたディスク2(⑦は日/英盤でヴァージョンが異なる)はともかく、LPの全曲を収めたディスク1は音質も良い。ライノ盤‘The Best Of Badfinger VolumeⅡ’で発売済みの[1]①③④⑦も、よりクリアな別ミックスでの収録。』
レコード・コレクターズ 2001年2月号 若月眞人氏ライナーノーツより
*ラスト・アルバムとなった本盤は、日本クラウン発売の付属帯が濃い緑色のアップル盤に似ていて洒落ています。そこに記載されているバッドフィンガーのメンバーには、ピート、トム、マイクの3人とキーボートのBob Jacksonでギターのジョーイ・モーランドは既に脱退しているようです。LP「素敵な君 WISH YOU WERE HERE」の次作として録音された本作は前作を踏襲した良い出来だったにもかかわらず世に出るタイミングを逸してしまい、本作のリリースを知ることなく他界してしまったピートとトムへの追悼盤になりました。