前半6曲が美しい。20世紀を代表する天才コンポーザーの極地です。ロックな1、2、6。能天気なポップの3。エルヴィス・コステロと共作した切ないワルツの4。英唱歌の伝承みたいな5。これだけの多彩な曲を誰が作れるだろうか。7曲目以降も悪くはないですが、ポール御大の甘々の側面がやや強め。好みによりますが、ビートルズ中後期的サイケデリックの12も聴きどころの一つです。このアルバムは過小評価されています。アーカイブコレクションに入れてもらえなかったってことは、ポール御大ご自身の評価も低いのかもしれません。天才は自身の仕事には目が曇っていることがままあります。 Flowers in the Dirt と合わせ、いい曲だけ集めて一枚にしていれば、ソロキャリアの最高傑作だったでしょう。
Off the Ground