ビースティ・ボーイズは、ハードコア・バンドとしてスタートし、ニューヨークのナイト・ライフに合わせて、ヒップホップに手を出していった。Def Jamと契約し、デビュー・アルバム『Licensed To Ill』をリリースする頃には、彼らはパーティーボーイとしての性格を完全に受け入れ、女の子、パーティー、ビールについて歌っていた。
その次の作品『Check Your Head』と『Ill Communication』のスタイルは驚くほど似ている。ビースティは、数年ぶりに楽器を手にし、ハードコア・パンクの曲やファンクのインストゥルメンタルをアルバムに加えた。彼らは、キーボード奏者のマニー・マークと一緒にファンクの曲をジャムりながら、自分たちでサンプリングすることもあった。
『Hello Nasty』は、ビースティ・ボーイズがパンクの曲をやめて、ヒップホップのルーツに回帰した作品だ。『Paul’s Boutique』以来、彼らが一緒に韻を踏むのは初めてで、歌詞は『Licensed to Ill』を彷彿とさせるような遊び心のあるトーンに。また、彼ら全員が一斉に最後の韻を叫ぶという、オールドスクールでヒップホップ的なテイストを持っている。
驚くべきことに、彼らのダウンビートな曲の中には、最も政治的でカッティングな曲もある。これらの曲は、彼らのMCがただ叫ぶだけでなく、初めて歌うという点でも注目に値するものだ。単純に聞こえるが「Song For The Man」は、アドロックが地下鉄で女性を客観視している男性を見た経験から、女性蔑視の問題に取り組んでおり、「Instant Death」は、アドロックの母親の死と、彼の親友であるデイブ・スキルケンの薬物過剰摂取を扱っている。
・ビースティ・ボーイズの20曲:ヒップホップの新しい可能性
・ヒップホップは対立の歴史
『Hello Nasty』ができるまで
4年ぶりのアルバム
ビースティ・ボーイズ『Hello Nasty』
1998年7月14日発売
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