永平二祖・孤雲懐奘禅師/昭和55年/辻善之助序文/つねに道元に随侍してその遊行教化を助け永平寺の建立や正法眼蔵の筆録書写に尽くした
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昭和55年 昭和3年の復刻版 厚さ約2cm 部数は少なそうです資料用にもいかがでしょうか。
孤雲懐奘禅師の筆蹟に就いて
現代の史學は、根本史料を時代の遺物に求め、殊に時代の遺物の文字に依 って意義を表現せられてあるもの を要めて、史實の解釋をなさんとしてある。 この點 から、時代の筆蹟の研究が、極めて重要なることとするので ある。 孤雲懐弉禅師の事蹟の研究が輝師の筆蹟の有無に依って、方鍼が定めらるべきであらう。
然るに今日まで、未だ禅師の筆蹟を搜求して調査せられたことを聞かない。 それでこにその二三に就いて考ふるところを述ぶることする。 孤雲霞舞禅師の自賛 の頂相が、三河一ノ宮の松源院に藏せられてゐる。この一幅はたしかに時代の面目を留めてあるもので、自賛の末に、永不二代懷非自賛と署せられてみる。 これは褌師が、自ら筆を執られたものであることが疑は れ ない。
孤雲懐奘
こうんえじょう
（1198―1280）
鎌倉初期の曹洞(そうとう)宗の僧。孤雲は庵居(あんきょ)の称。京都の人で、藤原氏の出身。比叡山(ひえいざん)横川(よかわ)で出家し、1218年（建保6）菩薩戒(ぼさつかい)を受けて、顕密(けんみつ)の諸宗および西山(せいざん)浄土教などを学んだが、達磨(だるま)宗覚晏(かくあん)（生没年不詳）の門に転ずる。その後、1234年（文暦1）京都深草興聖寺(こうしょうじ)の道元の門に投じ、つねに道元に随侍してその遊行(ゆぎょう)教化を助け、永平寺の建立や『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』の筆録書写に尽くした。1253年（建長5）道元の退院後は永平寺2世となり、弘安(こうあん)3年8月24日示寂。著書に『正法眼蔵随聞記(ずいもんき)』『光明蔵三昧(こうみょうぞうさんまい)』があり、法嗣(はっす)に徹通義介(てっつうぎかい)、寒巌義尹(かんがんぎいん)、寂円(じゃくえん)（1207―1299）らがいる。
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