①は、1972年のオリジナルメンバー7名での1972年日本公演。前年に初来日をしているので2回目の来日公演<日本武道館6/8>の映像のようです。東京12チャンネルの放送用音源と思われますが、時折りカウンターのようなものが入るので放送そのものではないと思います。4枚目のアルバム[CHICAGO 5]をリリースする直前の彼等は、ベトナム戦争真っ盛りの時代でのライヴ活動でもありテロップに流れる訳詞を見ても反体制なものが殆どでテリー・キャスやロバート・ラムの歌声にも尖った憤りの様なものを感じます。ピーター・セテラは髭と髪型から「猿の惑星」のザイアス博士のようで80年代後半の搾り上げたスリムな姿とは別人のようです。テリーキャスとピーターセテラが掛け合いで歌う「DIALOGUE」の会話に時代を感じます。正規盤で出た[Live In Japan’72]レコードは大阪公演で「LOWDOWN」「QUESTIONS 67&68」を北山修訳詞の日本語で歌っているようですが、この武道館では両曲とも英語で歌っています。画像は奇麗ですが時折り(元テープの要因でしょうか?)乱れるところがあります。
②は、1979年のフロリダ州マイアミでのライヴ。こちらもTVショーの映像。1977年にギターのテリー・キャスが銃の暴発で他界した後、かつて1910フルーツガムカンパニーやスティーヴン・スティルス・バンド等でギターを弾いていたドニ―・ディカスが二代目ギターリストとして「CHICAGO 12」「CHICAGO 13」をリリースした頃のライヴ映像で、パーカッション奏者が加入の8人編成です。①ではキャス+ラム+セテラ3人がボーカルを分け合うバランスでしたが70年代後半では、ピーター・セテラのフロントマンとしての位置が固まりつつあり、ドニ―・ディカスのギターとパフォーマンスは(画像を見ればお解かりの通り)老舗ロックバンドになりつつあるシカゴに不似合いな感じです。この後すぐにレイオフされるようです。何といってもピーターの歌声は素晴らしく「IF YOU LEAVE ME NOW=愛ある別れ」はこの時期のシカゴには欠かせないバラードです。またラストで演奏される「STREET PLAYER」も10分位のヴァージョンでこの時期ならではのレパートリーと言えるでしょう。残念なことに画像は悪くないのですが声と映像が少しずれています。80年代にAORに変化しMTVを賑わすひとつ前の時代(低迷期?)の貴重な歴史的映像です。