そんな本作が吹き込まれたのは「1982年8月26日ベツレヘム公演」。その極上オーディエンス録音です。「Fever」と言えば、もちろん大名盤『SCREAMING FOR VENGEANCE』の隠れ名曲のこと。この曲がライヴ演奏されたのは一体いつだったのか。それをご説明するためにも、まずは“WORLD VENGEANCE Tour”の全体像から振り返ってみましょう。
●1982年
“WORLD VENGEANCE Tour”
・8月26日ー12月15日:北米#1(78公演)←★ココ★
●1983年
・1月4日ー2月21日:北米#2(34公演)
・5月29日:USフェスティバル出演
“METAL CONQUEROR Tour”
・12月12日ー22日:欧州(9公演)
これが1982年/1983年のJUDAS PRIEST。『SCREAMING FOR VENGEANCE』によって一気に全盛期の扉を開いたわけですが、そのツアー“WORLD VENGEANCE Tour”は意外なことに北米限定。母国イギリスはおろか欧州でのライヴが1回もありませんでした(母国を絶対に忘れないIRON MAIDENとは対称的です)。そんな中で「Fever」が演奏されたのは、ツアーの極初期。「北米#1」の頭2公演だけだったと言われています。そのうち音の記録が残っているのは初日ベツレヘム公演だけ。つまり、それが本作なのです。
・Electric Eye/Riding On The Wind/Bloodstone/Fever(★)/Devils Child/Screaming For Vengeance/You've Got Another Thing Comin'
●その他(10曲)
・ブリティッシュ・スティール:Metal Gods/Breaking The Law/Living After Midnight
・黄金のスペクトル:Heading Out To The Highway/Desert Plains
・70年代:Sinner/The Ripper/Diamonds & Rust/Victim Of Changes/Hell Bent For Leather
※注:「★」印は公式映像『LIVE VENGEANCE '82』で聴けなかった曲。
……と、このようになっています。ショウの基本は公式映像『LIVE VENGEANCE '82』に準じるわけですが、そこに「Fever」が入る事で『SCREAMING FOR VENGEANCE』から「(Take These) Chains」「Pain and Pleasure」以外の全曲が披露。「生演奏版復讐の叫び」に最も近いライヴアルバムでもあるのです。
50年を超えるキャリアの中でも、「Fever」の生演奏が聴ける録音はたった1本だけ。本作は、その大元マスターからダイレクトにデジタル化された銘品中の銘品です。開演を告げる「The Hellion」が録音漏れで、最終曲「Hell Bent For Leatherがやや不安定といった録音自体の欠点もあるのでShadesレーベルからのご紹介となりましたが、歴史的な重要度はそんじょそこらのプレスCDも裸足で逃げ出す最重要ライヴアルバムです。どうぞ、存分にお楽しみください!