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柴田よしき★麻生龍太郎（始まりとその後）★ 角川文庫
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「所轄刑事・麻生龍太郎」 平成２１年 ９月 文庫初版
「私立探偵・麻生龍太郎」 平成２３年 ９月 文庫初版
定価 ５１４円、７４３円＋税 ３６６頁、４４９頁
＜所轄刑事＞ ”RIKO”シリーズなどで脇役として存在感のある刑事麻生龍太郎の新米刑事時代から、警視庁本庁に転勤になるまでを描く連作短編。
地元の警察署に配属された麻生龍太郎は刑事になって１年ちょっと。まだ新米ながら、些細な事件の裏にある犯人の思いや被害者の言葉を拾ってゆく。自身もある悩みを抱えながら、下町の事件を解決する。「大根の花」家の前で育てられる草花の鉢が壊される事件が相次ぐ。たいした事件ではないが、龍太郎はその中に三輪車が傷つけられた事件があることを知り、被害者から話を聞く。「赤い鉛筆」自殺事件と思われたが、首を釣った紐と、死者のバッグが無くなっている事を知る。自殺なら民事不介入でそのまま事件は終わってしまうが、校正者を目指していた女性の足取りを追う。「割れる爪」突然女子高生に襲い掛かり顔を引っかいたとするホームレスの女が捕まる。女は”はなこ”と答えた切り口をきこうとしない。名前を名乗れば不起訴処分になるのだろうが、龍太郎はホームレスの顔役に話を聞きにいく。「雪ウサギ」密室の部屋で母親死んでいて、幼い子供がベランダに乗り出した。外に出られない子供はおしっこのためのおまる”雪ウサギ”を探していたのだ。事件性のない病死と思われた事件だが、保育園の女性からの話を聞いて、不審なものを感じる。「大きい靴」愛犬のホーリーが、死人の手首を咥えてきた。飼い主の女の子の話を聞きながら、ホーリーがどこからそれを持ってきたか推理する。
＜私立探偵＞ ”聖なる黒夜”の事件で刑事を辞め、私立探偵になった麻生を主役にした短編集。このあとRIKOシリーズにつながるので、後の龍太郎と練の関係性がバックグラウンドとして語られる。
「Our House」子供時代に庭に埋めたタイムカプセルの行方を探して欲しいという依頼。依頼者の真の目的は。「Teach Your Children」セクハラで訴えられたという中学校長が冤罪を晴らして欲しいという。辞めた女性教師が恨みに思ったのは。「Djavu」婚約者の疑いがかかった青年を助けるが、その青年とは初めてあったはずなのにいつかであったような気がする。刑事時代の過去と絡めて。「Carry On」中編。元検事の女性弁護士から、別荘から盗まれたかもしれないという指輪を取り戻して欲しいという依頼。その別荘を訪ねると、近くの別荘に隠れている女性に出会う。離婚した元夫のマンションで死体を見て逃げているのだという。この女性との出会いは偶然なのか。冷徹な元検事の女性弁護士の本当の狙いは。「Epilogue」錬との腐れ縁の行方、聖母や月神につなげてゆく。いずれにしても、わかりすぎてしまう龍太郎にとって依頼はこなしても、その裏に隠された依頼者たちの隠した思いまで読み取ってしまう。
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