ブラジルはサンパウロ出身で1966年生まれ、現在では米国を拠点に活動を続ける女流ジャズヴォーカリスト、ルシアーナソーザの2003年発となるソロ名義リーダー作。リリースはコンテンポラリージャズ最前線、サニーサイドから見開きデジパック装丁でリリースされていたもの。編成はルシアーナソーザのヴォーカルを中心にコントラバス、ドラムス、ピアノによる布陣。内容は現在進行形コンテンポラリーラテンジャズの範疇ではあるものの、涼し気な音像の下では鬼のように難儀な音程の連続と難度の高いリズムアプローチを重ねていたりして、どんなに正攻法の演奏スキルを駆使していようとも、この音を聴けばすぐに解る70年代のチックコリアからフローラプリムの洗礼を経てエルメートパスコアルとエグベルトジスモンチの音楽観で鍛え上げたような過激さを芯の部分に織り込んでもいて、特に音程が乱高下するテクニカルなスキャットシンギングで疾走していくトラックではそのものズバリとなる格好良さ。に加えてこの人本来の個性が煌くスローテンポなヴォーカルナンバーがとにかく白眉。LUCIANA SOUZA-north and south(sunnyside)