【LP1枚】国内盤AMP-4023 注目は、ハービー・ハンコックのピアノ参加(ベースはロン・カーター)。他の楽器は、複数名で担当しているが、ピアノは全曲通じてハービー。ハンコックはCTIの多くのアルバムにゲスト参加しているが、主張は控えめ。自分がメインになった時のスリリングな世界とは違った音楽で、ピアノを弾くことを楽しんでいるという風情。全体としては、デスモンドのリーダー・アルバムにありがちな「イージー・リスニング的世界」。テナーのスタン・ゲッツも、非黒人ユダヤ系ジャズマンでジャズを極めたひとり。A1は涼やかなボサノバ調の曲。デスモンドのくぐもったようなアルトがメロディを縫っていく。ハンコックのソロは、アコースティック・ピアノだが、エレピのような音色で、彼らしいソロを展開。A2はセベスキーの曲で、一転して、しっとりとした抒情漂うスローバラード。A3はビートルズの「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」。これを演るかねという選曲だが、パーカッションを前に出してラテンでダンサブルな仕上がり。この曲だけハービーは不参加。A4は再びスローバラードで、ミュート・トランペットがイントロ。A5はおなじみ「Someday my prince will come」。イントロはカクテル・ピアニストのようなハービーのピアノ。B1「枯葉」は、凝ったアレンジをせずに、スッとテーマに入り、そのまま素直に進む。これを聞いていて思い出したのが、ブルーベックがデスモンドの代わりにクラリネットのビル・スミスをフィーチャーしたアルバム。デスモンドの力みや淀みのないアルトは、クラリネットのように響く。このあたりまで来ると、曲がどうとか、演奏がどうとかではなくて、彼らの奏でる音楽に身をまかしている自分がいる。B3「Lady in cement」は、007風映画のタイトル画面に流れているような音楽。それをデスモンドも楽しんでいるようなノリ。オーラス前は、デスモンドのオリジナル「North by Northeast」。ロン・カーターのウォーキング・ベースがイントロ。渋いブルースで、ジャジーな風味。締めくくりは、B5「Summer time」。これはやっぱり名演のひとつ。ハービーがクールにブロックコードで支え、デスモンドのアルトが冴える。その他写真参照お願いいたします。視による検査異常なし。中古ですので小さな汚れあります。まとめて買えばお安くなります。