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秋桜さん
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「密室の鍵貸します」 2006年 2月 文庫初版
「密室に向かって撃て!」 2007年 6月 文庫初版
「完全犯罪に猫は何匹必要か?」 2008年 2月 文庫初版
「交換殺人には向かない夜」 2011年 2月 文庫2刷
定価 533円~705円+税 310頁~458頁
<密室の鍵貸します> 著者のデビュー作。これ以前に投稿作品(”中途半端な密室”にまとめられている。)でその名を知られていたが、この作品で炭鉱本デビュー。
烏賊川市立大の映画学科の学生・戸村竜平に降りかかる悲劇。大学3年で就職など考えている竜平、突然彼女に振られて、1か月。先輩のアパートのホームシアターでいつものように映画VTRを見る。ところがその最中、近所のマンションから女子大生が落ちた。背中に刺し傷があり殺人事件として、砂川・志木のコンビが捜査に当たる。一方シャワーを浴びていると思った先輩が風呂場で死んでいた。脇腹に刺し傷。慌てて竜平は転倒気絶してしまい、朝まで気が付かない。起きてみれば部屋の鍵はすべて中からかかっていた。このままでは時運が容疑者になると思い、元義兄の探偵・鵜飼に相談。でもどう考えてもこの密室の謎は解けない。そして、とうとう砂川警部たちにつかまってしまう。見事なアリバイトリック。密室はよくあるパターンだが、フェアにヒントが出されている。
<密室に向かって撃て!> ドジな二人組、砂川警部と志木刑事が取り逃がした容疑者は、窓から転落して死んだが、彼が所持していた密造けん銃が死体のそばから消えた。2週間後そのけん銃が使われて殺された死体が見つかる。その死体は、探偵・鵜飼が知っていたホームレス(彼は第1話でも出てくる)だった。ともかくここまでが発端。結構ページ数を費やしているが、ともかく語りが面白い、ギャグ満載。長さを感じられない。そして、会社社長の十条寺が、鵜飼を名探偵と信じて孫娘の結婚相手の身上調査を依頼。事務所の家賃のために引き受け、一月後その報告に向かった夜。拳銃による殺人事件が起こる。使われたのはあのけん銃。殺されたのは、三人の婿候補者の一人。さあここから推理が始まる。ギャグだらけで面白いがその推理は本格。犯人は誰か、そのトリックとは。
<不可能犯罪に猫は何匹必要か?> 私立探偵鵜川が引き受けたのは、猫探し。招き寿司チェーンの社長の愛猫を探すことだ。もう、12か月も家賃をためているので背に腹は代えられぬ。でもその成功報酬は120万円。三毛猫の”ミケ子”を求めて路地裏をうろうろ。ところが数日後、依頼主の社長豪徳寺が、私有地のビニールハウスの中で死体で発見される。その出口には巨大な招き猫のフィギアが。豪徳寺は大の招き猫狂なのだ。店の前にも、家の門のわきにも巨大な招き猫が飾られ、土蔵内部には招き猫のコレクションが。捜査に当たるのは砂川警部。そしてこのビニールハウスの内部では10年前にも殺人事件が起こっていた。どちらの事件もアリバイが壁を作り、犯人が浮かび上がらない。さて、招き猫と猫、これが事件とどうかかわってくるのだろうか。
<交換殺人に向かない夜> 今回はいつものメンバーが分かれてコンビで登場。1月20日雪の降った夜に起こった事件。そして新たに二人の女性、女刑事と女優が登場。この二人がいい味出している。タイトルにあるように”交換殺人”と雪の山荘をトリックに使っているが、もう一つ驚きの叙述トリックが隠されていて、あっと驚く仕掛け。
まず鵜飼・朱美コンビだが、この二人は絵かきの豪邸に潜入捜査。夫の浮気を疑う夫人に頼まれて烏賊川市との境界近くの豪邸に行く。竜平・さくら(第2話に出てきた天然のお嬢様、なぜか龍平に惚れている)は、桜が姉とも慕う女優に招かれてその別荘に行く。この女優が個性的。そしていつもの砂川・志木の刑事二人組は、駅のそばで起こった刺殺事件を追う。ここでは初登場の女刑事も出てきて個の豪快さも読みどころ。ともかく、駅そばで女性が殺され、豪邸では夫が不審な行動。そして隣の別荘では親子喧嘩の末、子供が出て行き深夜にその主が殺される。さらに豪邸のに派から白骨死体など、一晩のうちに数えきれないほどの謎が。ともかくトリックとしてこのシリーズの最高傑作ではないだろうか。もちろん新しい登場人物たちのギャグもいい。
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