オープニングの「Time Is On Your Side」は、ファンクとソウルとジャズが混然一体となったゴッタ煮グルーヴ。「They Don't See」やブレッドのカバー「Make It With You」は、西海岸風情の爽快グルーヴィー・ソウル。ライヴ盤『Gratitude』でも演奏された、ゴツゴツした強力なファンク・チューン「Power」、グルーヴィーなジャズ・ファンク「Remember The Children」あたりは、ワーナー時代の作風にも通じる。フィリップがリードを取るスウィート&メロウな「Where Have All The Flowers Gone」、スキップ・スカボロウ作のミディアム・バラード「I'd Rather Have You」、ストリングス・アレンジが豪奢な「Mom」には、ほんのりラテンの薫りが滲む。
「LAST DAYS & TIME」
1. Time Is On Your Side
2. They Don't See
3. Make It With You
4. Power
5. Remember The Children
6. Where Have All The Flowers Gone
7. I'd Rather Have You
8. Mom
アース・ウィンド&ファイアの通算4作目のアルバム『Head To The Sky』。ワーナーから2枚のアルバムをリリースした後、レーベル移籍&大幅なメンバー・チェンジを経た心機一転の前作『Last Days And Time』で、ようやく後の成功への糸口を掴んだモーリス・ホワイトは、続く本作でも更なるバンド改革を断行。メンバー2人が入れ替わり、ここからアル・マッケイ、アンドリュー・ウールフォークが参加。全盛期のメンバーがほぼ出揃った。ファンク/ソウル/ジャズ/ラテン/アフリカのゴッタ煮から洗練へと向かう途上のサウンドで、前作よりはこなれているが、まだまだ角が立ったゴツゴツした質感を残すグルーヴが美味。特に本作では、ラテン/ブラジリアンなムードが強めの印象で、レア・グルーヴ的にも楽しめるアルバム。
カリンバ入りのラテン・グルーヴなファンク「Evil」、レイジーなシタールの音色がフィリーっぽさも醸すミディアム・スロウ「Keep Your Head To The Sky」、臭みたっぷりの粘っこいファンク「Build Your Nest」、ピアノが印象的なバラード「The World's A Masquerade」、ファンキーなラテン・ロック調の「Clover」、エドゥ・ロボのカバーとなるブラジリアン・フュージョン大作「Zanzibar」と、好曲揃いの力作。