1949年生まれ、英国はソールズベリー出身のアヴァンギャルドプログレ系マルチ管楽器奏者で、フリーインプロヴィゼーション方面からのアプローチも重ねながら70年代にはヘンリーカウのオリジナルメンバーとして活躍した事で著名なティムホジキンソン。現在では現代作曲家としての活動が多く、ルーマニアのイアンクドゥミトレスクの専属アンサンブルでもあるハイペリオンへの参加を皮切りに、現代音楽方面でのアルバムも既に4枚以上のリリースがあるなど2019年以降は現代音楽フィールドでの活動が目立つほど。で、本作、こちらは94年発のソロ名義作で、オリジナルリリースは米国メガフォンから。アヴァンパンクプログレ系のメガフォンとはいえ内容の方はと言えば現在の活動を予期していたかのような、この人にとっては最初の本格的な現代音楽的コンポジションを中心にした楽曲を収録。それでもヘンリーカウやチェンバープログレシーンでの経験が普通では無い個性を放っているという点で単なるアカデミックな作曲家には真似のできない自由度の高さはまさに真骨頂。編成はティムホジキンソン(ピアノ、ヴォーカル、ベース、サンプリング、シーケンス、クラリネット、バスクラリネット、パーカッション)、弦楽四重奏団、クリスカトラー(ドラムス)、リンゼイクーパー(バスーン)、さらに1、4、5曲目ではなんとダグマークラウゼの怨唱が炸裂し、ほとんどアートベアーズをさらにドロ沼ハードコアにしたようなという極め付け。当然のようにチェンバープログレとしても超一級品なのは言うまでもなし。TIM HODGKINSON-each in own thoughts(megaphone)