1953年生まれ、米国はウィスコンシン州ミルウォーキー出身のサックス奏者にしてヴォーカリストでもあるジェイムスチャンス率いるコントーションズ名義によるそれまで未発に終わっていた初出のライブ録音盤。リリースは米国Roirから95年のリリース。一般的にはノーウェイブ系に於ける代表的なアヴァンロックバンドといった認識で現在でも80年代以降のニューウェイブ、ポストパンク、レコメン系、オルタナティブアヴァンギャルド系譜の渦中では好き物を刺激してやまない存在。オリジナルコントーションズ自体は79年のデビュー作発売前に既にジェイムスチャンスが脱退して解散状態のうえ、ご本人のチャンスはさっさと次のバンドを組織して活動中だったわけで、そういう意味ではその後に出てくるアルバムは全て未発録音物件の類になってしまうという経緯。で、本作もまたその線の貴重音源ということで、81年、イリノイ州はシカゴにあるミスフィッツナイトクラブというライブハウスでのライブ録音、全9曲48分の収録。あれ?ってことで79年に解散していたんじゃ?ってもしかしたら実際にはコントーションズではなくてジェイムスホワイトアンドザブラックス名義のライブ録音だった可能性もあるものの、結局はコントーションズの発展形がザブラックスだった事を考えれば名義なんかはどうでも良かったのかもしれず、とりあえずはそんな事は脇に置いといても本作の内容の凄まじさは音質からして優れているうえに演奏も絶頂期の一瞬を切り取ったような迫真のドキュメント。ポストパンクにアヴァンジャズファンクが合体して狂ったようにハーモロディック化していくようなこのアンサンブルは、プログレ筋で言うならティムホジキンソンのThe Workをファンク乗りで洗練させたような、或いはオシャレになったキャプテンビーフハートとも言うべきか、とにかくこの80年代最高峰の荒ぶるレフトフィールドの何たるかを体感すべし。 JAMES CHANCE AND THE CONTORTIONS-lost chance(roir)