本作の冒頭を飾るのは、QUEEN+アダムの原点となったTV番組“アメリカン・アイドル”。ご存じの通り、アダムはこの番組のシーズン8で全米に知られていったわけですが、その決勝ではブライアン・メイ(まだ黒髪!)とロジャー・テイラーがゲスト参加。アダムともう1人の候補者クリス・アレンのバックを務め、「We Are The Champions」を共演しました。
そうして意気投合したQUEENとアダムが再共演したのは、2011年のMTV授賞式パフォーマンス。QUEEN+アダムは2012年に初のフルショウ&ツアーを行うわけですが、その前に行われた唯一のライヴであり、アダム1人でQUEENのフロントを務める初ステージです。ここでは「The Show Must Go On」「We Will Rock You」「We Are The Champions」の3曲をメドレーで演奏。1985年の“LIVE AID”がQUEEN復活を決定づけたステージだとすれば、この映像はQUEEN+アダムの未来を決定づけた。それほどまでに素晴らしい運命のパフォーマンスを史上最高峰クオリティで目撃できます。
●2013年:iHeartRadio Music Festival(6曲+α)
彼らの初ツアーは2012年でしたが、それは東欧&ロンドンの6公演だけ。本格的なワールド・ツアーは2014年からでした。その間となる2013年は“iHeartRadio Music Festival”への出演だけでした。1曲単位の演奏とメドレーが混在するために上記では「6曲+α」としましたが、実質的には「9曲」という本作でも最大・最長の映像です。
アメリカのインディーロック・バンドFUN.(シンガーのネイト・ルイスはフレディ似の声とも言われています)と共演する「Somebody To Love」「Fat Bottomed Girls」も面白いですが、やはり圧倒的なのはアダム。「Who Wants To Live Forever」の絶唱は必見です。
初のワールド・ツアーは大きく3つに分かれ、「2014年6月-9月:北米/アジア/オセアニア」「2014年12月-2015年2月:欧州」「2015年9月:南米」で世界を巡りました。その最中となる2014年のクリスマスに出演したのが“HELENE FISCHER SHOW”。ここでは「I Want It All」の他、番組のパーソナリティであり、ドイツの女性シンガーであるヘレーネ・フィッシャーとデュエットする「Who Wants to Live Forever」も楽しめます。
【完全にユニットとして確立した2017年-2020年(3種)】
●2017年:THE LATE LATE SHOW WITH JAMES CORDEN(5曲)
“TOUR 2014?2015”・“2016 SUMMER FESTIVAL TOUR”を経て、三度目のワールド・ツアーに臨んだ2017年。その直前にも2つのTV番組に出演しました。
まずは“THE LATE LATE SHOW WITH JAMES CORDEN”ですが、これが本作最大の結佐映像! 何と言っても面白いのが番組パーソナリティであるジェームズ・コーデンとの共演。彼はシンガーでもあるのですが、普通のデュエットとはワケが違う。アダムとジェームズが煽り合い、「これが出来るか?」と言わんばかりのヴォーカル・バトルを繰り広げる。圧倒的な歌唱力と凄まじいロング・ノートでジェームズを叩きのめすわけですが、その芝居がかったバトルは完全にコント。このフレディ譲りの芸人根性はアダムならでは。いかにポール・ロジャースが歴史的な名シンガーであっても、これは出来ない(やらない)。アダムが10年という長きにわたってQUEENのフロントを務め続けている理由の一端が透ける傑作プロショットです。
●2017年:JIMMY KIMMEL LIVE(1曲)
もう1つはワールド・ツアー前日に出演した“JIMMY KIMMEL LIVE”。「I Want It All」の1曲だけですが、野外の特設ステージでツアー本番さながらの熱演を繰り広げています。
●2020年;FIRE FIGHT AUSTRALIA(5曲)
そして、本作の最後に収録されているのは、話題の“LIVE AID再現ステージ”となった“FIRE FIGHT AUSTRALIA”。その貴重な初放送バージョンです。初回放送では「Hammer to Fall」やフレディが登場する「Ay‐Oh」がカットされているためにフルではありませんが、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大成功を受けて35年ぶりに再現された伝説のセットを熱唱するアダムが楽しめます。