●ピアニストのチック・コリアは、そのフュージョングループ、リターン・トゥ・フォーエヴァーやチック・コリア・エレクトリック・バンドで最もよく知られているが、その奥底の下地は、音楽シーンに登場してきた頃にモンゴ・サンタマリアと競演していたサルサにある。それにラテンアメリカの音楽の詩的でメロディアスなメッセージに対する関心の深さは、そのキャリアに明白に表れている。この壮大なプログラムは、コリアが自分の文化的遺産のカギになるとはっきり見なしているものの多くの側面を取り入れている。ここで中心となるコンテクストを与える17楽器から成るオーケストラは、『Sketches of Spain』におけるマイルス・デイヴィスとギル・エヴァンスのコラボレーションやチャールズ・ミンガスの『Tijuana Moods』における似たような旋律テーマの探求を彷彿させることが狙いとなっている●