カナダ出身の自作インストゥルメンツの製作者にして即興演奏家としても知られ、現在では神戸在住のティムオリーブと、対するは京都を拠点して様々な形態の音響を模索するサウンドアーティスト、中琢爾によるコラボレーションアルバムとしての第一作目。リリースは日本のEM Recordsからデジパック装丁にて限定枚数でリリースされていたもの。使用インストゥルメンツはティムオリーブが磁気ピックアップを使用した自作インストゥルメンツ、中琢爾のほうはスプリングリヴァーブなるこれまた自作のインストゥルメンツを使用。この編成からもわかるように、当然まともな楽音なんかは完全にスポイルされ、微小な物音ノイズをアンプリファイドにて拡大しながらコレクティヴインプロヴィゼーション的な感覚で響きを模索し、或いは反応し合っていくような演奏。インプロとはいえフリージャズ派生型のそれとは異なり、どちらかというと物音ノイズ的な音響テクスチャーが強く出てもいて、両者は特に意識してはいないだろうけれどもジョンケイジのカートリッジミュージックをなぜか想起もさせ、エクスペリメンタルサイケの要素もあるという意味ではクラウトロックやジャーマンロックのエレクトリックな側面や何よりもKLUSTERやFAUSTの音響ノイズ的な側面がツボな人にも充分に興味深く楽しめる内容。TAKUJI NAKA TIM OLIVE-the new attractive(em records)