「魔の山（Der Zauberberg）」上下2巻 ◆トーマス・マン（岩波文庫）
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★内容： 平凡無垢な青年ハンス・カストルプははからずもスイス高原のサナトリウムで療養生活を送ることとになった。日常世界から隔離され病気と死が支配することの「魔の山」で、カストルプはそれぞれの時代精神や思想を体現する数々の特異な人物に出会い、精神的成長を遂げてゆく。 理性を尊び自由と進歩を唱導するセテムブリーニ。テロと独裁によって神の国を実現させようとする非合理主義者ナフタ。2人に代表される思想の流れはカストルプの魂を奪おうと相争うが、ある日雪山で死に直面したカストルプは、生と死の対立を超えた愛とヒューマニズムの道を認識する。人間存在のあり方を追求した一大教養小説。『ファウスト』と並んでドイツが世界に贈った人生の書。
★パウル・トーマス・マン（Paul Thomas Mann）は1875年、ドイツ、リューベック生まれ。当初は実科を学んだが処女小説『転落』が認められて文筆を志し、1901年に自身の一族の歴史をモデルとした長編『ブッデンブローク家の人々（Buddenbrooks - Verfall einer Familie）』で名声を得る。以降『トニオ・クレーゲル（Tonio Krger）』、『ヴェニスに死す（Der Tod in Venedig）』などの芸術家小説や教養小説の傑作『魔の山（Der Zauberberg）』を発表し、1929年にノーベル文学賞を受賞した。1933年にナチスが政権を握ると亡命し、スイスやアメリカ合衆国で生活しながら、聖書の一節を膨大な長編小説に仕立てた『ヨセフとその兄弟（Joseph und seine Brder）』、ゲーテに範を求めた『ワイマルのロッテ（Lotte in Weimar）』、『ファウストゥス博士（Doktor Faustus）』などを発表。終戦後もドイツに戻ることなく国外で過ごしたが、『ドイツとドイツ人（Deutschland und die Deutschen）』などの一連のエッセイや講演でドイツの文化に対する自問を続けた。兄ハインリヒ・マン、長男クラウス・マンも著名な作家である。1955年死去（享年80）。
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