RON CARTER THE BASS AND 1 ロン・カーター 帯付き国内盤 高音質 SHM-CD
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「いそしぎ（The Shadow of Your Smile）」をたまたまYouTubeで聴き、惚れ込んでしまったので
このアルバムを購入した。
ピアノを弾いているのはスティーブン・スコット。収録曲のどれを取ってもご機嫌な演奏だった。
もちろんいそしぎが一番良いことは言うまでも無い。ロン・カーターは収録をスタジオで行っているが、
狙いはライブ・パフォーマンスをスタジオで行うことにあったようである。そのため各演奏者の臨場感
溢れる掛け合いを聴くことが出来る。将に聴衆のいないスタジオ・ライブと言ったところだ。
このアルバムは1997年にニュージャージー州にあるルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオでデジタル
録音された物である。ブルーノートのアナログ録音の大家がデジタル録音を行うようになった初期の
作品とのことで、ライナーノーツの終わりには収録に使われたマイクロフォンの機種名まで記載されて
いた。それを見るとロンのベースはスタンド・マイクでは無く楽器に取り付けるピックアップ・マイク
で録音されたようだ。それ以外の楽器はノイマンのUSM-69だが、これは一つの筐体に二つのマイク・
カプセルを持つワンポイント・ステレオ・コンデンサー・マイクで現在でも製造されている名器である。
現在の価格は1本約70万円。成る程。
ここまで調べて漸くピアノの音が左右に広がっている理由が判明した。殆どの曲で高音側の鍵盤の音が
中央よりやや右側、低音側の鍵盤の音が中央よりやや左側から聞こえるので、不思議に感じていたから
である。どうやらワンポイント・ステレオ・マイクをピアノの弦の上に設置して録音したように思われる。
勿論トラックダウン（ミキシング）の段階でピアノをピンポイントの音源とすることも出来るはずだが、
敢えて広がりを持たせたのだろう。しかしライブ演奏ではこんな聞こえ方はしないので、聴く側にして
みるとやや違和感を感じるところではある。
各楽器の音色はデジタル録音のため、とてもきれいで自然な音質。ベースの音もピックアップ・マイク
で拾っただけあってシャープな音像になっている。ただし2013年にリマスタリングを行ったとあるので、
音質や音圧の再調整が行われたことになる。行ったのはサムシング・エルス側のエンジニアで、再販に
当たりレーベルとして目指したい音があったのだろう。なお製造にはSHM-CDの技術が使われているので、
デジタル録音であることも相まって凄い高音質となっている。アナログ録音をデジタル・リマスタリング
し、SHM-CDとして再販されたアルバムは数多く持っているが、それとは次元が違うと言いたくなる音質だ。
デジタル録音ならばここまでの音質を再現できる、と言うことを感じて頂くだけでも購入の価値があると
思うので、お薦めしたい。