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平成4年 486P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
こうした古い仏塔の石板銘文には、人びとの仏塔崇拝の目的を「布施による回向のため」とか「現当二 世の利益と安楽を得るため」と記し、さらに「涅槃の至福が得られるため」とも刻まれていることに注意 を払うべきである。仏崇拝が祖先崇拝の範疇にはいるかどうかは別としても、それが亡き釈尊への敬慕 から、やがては仏陀への帰依にと移行したことは容認されよう。しかも早くから、仏教徒は仏陀への帰依 礼拝により、現世と来世の利益と安楽が得られ、涅槃の至福さえも得られると考えていたのである。
このような思考が中国、朝鮮および日本にも伝承されたことは、諸種の資料によってあとづけられる。 祖先祭祀の精細な制度化をおこなった儒教文化圏にあっては、こうした傾向は一層増幅されたことであろ うことも容易に想像される。たとえば、わが国への仏教伝来に際して、百済の聖明王に帰せられる上表文 には、仏像礼拝の功徳を「無量無辺の福徳果報」と「無上菩提の成弁」とすることなど、その一例である。 日本の人びとは、その当初から仏教の特質をこの二面性をもつものとして受容したともいえるだろう。ま 日本の仏教が祖先崇拝と習合した一つの契機は、追善回向を先祖祭の方式としたことにあると言われる けれども、これとてもすでに古代インドの仏教遺跡、ナーガールジュナコンダの大塔に見られる銘文の 「布施による回向」がうたわれていることから見て、やはり古くからの仏教的伝統を継承したものと言え ないこともないのである。
このたび、高野山大学教授桧垣巧先生の多年にわたっての広範精緻な調査研究にもとづく成果が、『祖先 崇拝と仏教」として上梓されることになった。
お探しの方、お好きな方いかがでしょうか。
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