そんな本作が撮影されたのは「1978年9月8日ナイアガラフォールズ公演」。そのカラー8ミリ・フィルムです。デビュー当時の8ミリ映像と言えば『FRESNO 1978: THE VIDEO(Shades 1146)』も定番ですが、もちろん本作は別公演。その辺の状況をご説明するためにも、まずは当時の活動概要をスケジュールで俯瞰しておきましょう。
・1月27日+2月8日:ウォームアップ
《2月10日『炎の導火線』発売》
・2月18日ー4月28日:北米#1(47公演)
・5月4日ー12日:欧州#1(7公演)
・5月16日ー6月10日:英国(20公演)
・6月17日ー28日:日本(9公演)
・7月1日ー9月30日:北米#2(54公演)←★ココ★
・10月9日ー27日:欧州#2(13公演)
・11月3日ー12月3日:北米#3(24公演)
《12月11日『伝説の爆撃機』制作開始》
これが全世界を震撼させた1978年のVAN HALEN。下積みが長いバンドでもありましたが、デビューするや一気に爆走。猛烈な勢いで世界を巡り、全米だけでなく日本や欧州も次々と攻め落としていきました。本作のナイアガラフォールズ公演は、そんなワールドツアーでも海外侵攻の合間に行われた帰国レッグ「北米#2」。その39公演目にあたるコンサートでした。実は前述の『FRESNO 1978: THE VIDEO』も同じ「北米#2」でして、本作はその2週間前でもありました。
そんな本作の最大のポイントは、凄まじい映像美。何と言っても、あの名作『FRESNO 1978: THE VIDEO』を超えるド迫力映像なのです。フレズノ映像はVHSを超える8ミリの映像美と驚異的なマスター鮮度で驚かせてくれましたが、ポジション的には中距離でステージ全景を捉えるタイプでした。ところが本作はググッと寄ったアップがたっぷり。妙技で場を圧倒するエディも、あのエビ反りを連発するデイヴも画面上にデカデカと描かれる。透かしテロップもありませんし、映像作品としての完成度は数段上です。
さらに衝撃なのはサウンド。もちろんカメラとは別の録音がシンクロされているわけですが、これが「まるでサウンドボード」を地で行く凄まじさ。『FRESNO 1978: THE VIDEO』もサウンドボード級の超クリア・サウンドではあったものの、モニターに張り付くようなゼロ距離感と極太感は比べものになりません。