フランスGRMとは別系統の電子音響研究施設のCCMIXにてイアニスクセナキスなどが携わりながら70年代から開発が進んでいったという電子音響作成専用のコンピュータ、UPICを用いて製作されたエレクトロアクースティック系電子音楽作品集。リリースは米国Modeレーベルから2001年に2枚組CD盤でリリースされていたもの。なんでもこのUPICなるコンピュータソフト、その仕組みからして子供の落書きでもこの手の作曲が出来てしまうという面白いもので、ペンタブレットを用いて線形グラフィックを入力し、これを様々な音響へと変換して出力するといったシンプルな機序なものの、いじるパラメータによっては異常な複雑さになる事も考えられ、何が出来るかは要は作り手のセンスの問題という、いわば音が鳴ればネタは何だって良いんじゃ?ってな基本を再確認できるという所にUPICの功績があったのかどうかは興味深いところ。因みにクセナキスの没後は本作にも参加しているスペインの現代作曲家のフリオエストラーダが中心になって現在でもソフトウェアとしてのヴァージョンアップが継続しているとのこと。で、本作に収録されている作家と楽曲は画像を参照していただくとして、クセナキスの電子音楽物は他レーベル盤でも聴けるけれどもやはり別格で、本作のヴァージョンでも音質やミキシングのわずかな違いは楽しめるので一興。他の作家のものではフリオエストラーダのクセナキスに憧憬したような電磁ノイズが炸裂する秀逸作とか、どれも個性的でこの手のエレクトロアクースティック電子音楽オムニバス作としては抜群の内容。CCMIX-new electroacoustic music from paris(mode)