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寄席文字 橘右近の渾身 報恩作パンフ「愛蔵版 桂文楽古典落語全集」ＬＰ１２枚全 ２８席のレコード全集。没後数年後の発行。安藤鶴夫遺稿
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商品説明
黒門町の師匠こと、昭和の大名人八代目桂文楽が急逝
したのは、昭和４６年（1971）12月12日であった。享年79歳
であった。
文楽は生前、昭和３５年から３８年にかけて、自らの十
八番を後世に残すために、ビクター・スタジオで録音した。
もとより客のいるライブではなく、たった一人扇一本舌先
三寸の渾身の芸を演じた。しかし、当時、総入れ歯の文楽
師匠の芸は、すべて満足の行く出来ではなかった。練りに
練り徹底的に無駄を省き、余韻が漂う絶妙の間、１５秒と
違わぬ初演時間は、微妙なズレが生じていた・・・。
ビクターレコードは、文楽師匠の納得した音源のみを随
時、ＬＰレコード発売した。それが文楽の急死により、収
録した音源すべてを蔵出しして「愛蔵版 桂文楽 古典落語
全集」（ＬＰ１２枚・全 ２８席）と相成った。
見逃してはならない、橘右近が魂を墨にしたため書き記
した「桂文楽」をはじめとした、本パンフ内の珠玉の寄席文
字である。本パンフには、黒子の寄席文字執筆者の名は
記されていないが、これを手がけたのは右近師である。
そして、右近師が黒門町にひとかたならぬおも言い入れ
があったことを御承知か？ 実は昭和２4年（1949）に、右
近師は噺家を廃業した。寄席の楽屋主任兼ビラ字書家専
業となった橘右近に、「寄席文字」の流派を新たに立ち上
げて、「キミがその家元になりなさい！」と薦めたのが文楽
であった・・・。
同時期、四代目柳家小さんが楽屋で急死後、小三治に五
代目小さん襲名を薦めたのも黒門町の師匠であった。小三
治は、五代目襲名費用がまったくなかったが一切の金を用
立てのは文楽であった。それと同じように、橘右近の寄席
文字流派旗揚げに際しても、文楽は必要経費の足らない分
を融通した。古いビラ字などの寄席資料が、神田神保町の
大屋書房などに売りに出ると、右近師の懐具合が悪い時に
は、政治家などの宴席で破格なギャラや御祝儀を頂戴して
いた文楽が応援した。今や貧乏に辛抱を重ねて右近師が蒐
集した、３４６６点の逸品は江戸東京博物館に「橘右近コ
レクション」として収蔵されいるが、その中には黒門町の
応援があって入手できたものもあるのだ。
そうした落語通にも気がつかない、八代目桂文楽師匠へ
の報恩の思いがこの「愛蔵版桂文楽古典落語全集」の寄席
文字には込められている気してならない。桂文楽は高座は
もとより日頃から、手拭いを使わず白いハンカチを使用して
いた。そのオシャレさが、右近の桂文楽の文字には魂を込
めて具現化されている。三回忌後に発売された本品には、
追善回向と故人への報恩感謝の年念が込められている気
がしてならない・・・・・・。
今から５０年近く前のものだが保存状態はよく「美品」であ
るが完品ではない。あまりに神経質な方は御遠慮して下さい。
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