これは面白い内容。ご存知ソニックユースの女性ベーシスト、キムゴードンを核に現在進行形エレクトロアクースティック電子音響シーンで独自の領域を確立しているイクエモリ、に加えてさほど有名では無いながらもルックフェラーリとの共作も残しているサウンドアーティストのDJオリーブによる3人連名による唯一作。ジャケットには音響機材や使用イクイップメントなどの記載が全く無いことから、本作の音楽性に於いては特にそういうものはさほど意味をなさないと言ったことだったのかもしれず、確かにこの内容を鑑みれば納得のいくところ。恐らくはキムゴードンのヴォーカル、ベースは言うに及ばずこの人が採取して集めてきたであろう様々な音ネタをイクエモリ、DJオリーブが変形の限りを尽くしていくといったような製作手法と思われ、総体的にはアクースマティックコラージュ、ミュージックコンクレートの範疇にあるサイケデリックな音響コラージュといった様相を見せ、尚且つそこだけに収まらないオルタナティブパンク的アウトローなロック感覚をも醸し出しているのが非常に個性的。もしもこれが60年代後半から70年代初頭のアルバムだったのならエクスペリメンタルサイケ系の傑作級として存在していたのかもしれず、とりもなおさず例えばESPのクロマニヨン、ジャーマンロック~クラウトロックのファウスト、ツヴァイシュタインなんかとも充分に比較出ちゃうのがヤバイ。因みにこのジャケットは現代音楽好きならグっとくるフランスEMI傘下のla voix de son maitreeレーベルのシリーズ物、perspective musicalesシリーズのカンパニースリーヴを用いたもので、ソニックユースの実験音楽的番外編としてシリーズ化しているアルバムも全てコレが用いられ、本作もそういった流れの中の1枚という位置付けだったのは確実。KIM GORDON DJ OLIVE IKUE MORI-musical perspective(sonic youth records)