構成はカウンセリングの活動編と社会的活動編、そして資料編を加えた三部構成となっている。全編は9章から成り、第1章では山本伊知郎が友田のカウンセリングとの出会いから見た友田の生涯を辿り、友田の関心と独自性とを紹介し、論じている。第2章は、東京目白にある日本カウンセリング・センターで提供された「カウンセリング演習」講座の素材となった逐語記録「M・Iさんとのカウンセリング」のカウンセラーであった工藤和仁が友田を世話人とする演習自体の逐語検討記録を手がかりに、自らのカウンセリングを振り返り、真摯に学び直した貴重な学びの推進の考察である。第3章の平河内健治の論述は、友田に接しての言葉の応答や応酬の中で何か変わる体験したものが多くみられるが、それが何によって可能になったのか、そして、その源は何かを探求したものである。第4章はロジャーズ・プロジェクトという研究グループの1994年開催学会のThe 3rd International Conference of Client-centered and Experiential Psychology において発表された友田の研究成果を紹介した英文論文を、グループの皆様のご好意によって、同グループのメンバーの一人末武康弘が日本語に翻訳し、友田の海外での評価を合わせて紹介している。第5章には藤野和子が友田の最晩年まで体験した日本人の日本人による日本人のためのグループ・カウンセリングの真髄である蕉風俳諧を基本とする友田独自の「掌風俳諧」で接した友田像を紹介している。より具体的な友田の俳諧カウンセリング実践は日本カウンセリング・センター1985年発行の「カウンセリング研究第5号」に掲載されている「友田不二男・亀山弘道公開対談記録」と「芭蕉の俳諧とカウンセリング」の特集記事、そして、「掌風のあゆみ」(山径会、1987)を参照いただきたい。第6章は友田との「易経とカウンセリング」ワークショップの様子を大塚俊博が記録したものである。これら6章が第一部のカウンセリング活動編を構成している。副題は「人間の飛躍・成長・発展をめざして」とした。