これが1989年ー1991年のKISS。公式版は会場も同じ“The Palace of Auburn Hills”ではあるものの、ライヴ自体はツアー最終盤の「10月14日」。それに対して本作は5ヶ月前となるツアー最初期。「北米#1」の11公演目にあたるコンサートでした。
このステージも以前から傑作プロショットが定番で、当店でもギフト盤『HOT IN THE PALACE』などが親しまれてきました。本作も同じ映像ではあるのですが、過去最高峰をグンと更新するアップグレード・マスターなのです。もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、今回のマスターは当店独自の関係者流出ルートで発掘されたもの。時代柄ビデオ画質ではあるものの、その映像美は従来盤とは比較にならない。
まず、深い黒。ギフト盤『HOT IN THE PALACE』ではやや焼けた色合いでしたが、本作は退色がまったく観られず、暗闇の黒は深く、照明に照らされたメンバー達はキラキラと輝いている。しかも、その鮮やかさはデジリマで作り出されたものではない。むしろ逆で、従来マスターがハイライト加工で細部が潰れてノッペリしていたのに対し、本作は細部の微細部までくっきり。煌びやかな衣装は布地の質感まで手触り感覚で描かれ、振り乱す黒髪は1本1本もハッキリと見えるのです。
・DESTROYER:Shout It Out Loud/God Of Thunder/Detroit Rock City
・その他:I Stole Your Love/Calling Dr. Love/Love Gun/I Want You/Rock And Roll All Nite
●80年代(10曲)
・LICK IT UP:Fits Like A Glove/Lick It Up
・ANIMALIZE:Heaven's On Fire/Under The Gun(★)
・HOT IN THE SHADE:Rise To It(★)/Hide Your Heart/Forever
・その他:Crazy Crazy Nights/I Love It Loud/Tears Are Falling
※注:「★」印は『KISSOLOGY VOLUME TWO』収録の10月映像にはなかった曲。
……と、このようになっています。ポイントの「Rise To It」「Under The Gun」は単に公式の10月映像にないというだけでなく、“HOT IN THE SHADE Tour”以降には演奏されない貴重曲でもある。特に「Rise To It」は正真正銘、このツアーだけの限定曲です。さらに言いますと「Fits Like A Glove」もレア。1995年に一度だけ復活演奏されたので「★」印は付いていませんが、レギュラー演奏されたのは1990年が最後でした。
そんなセット以上に重要なのが、超豪華なステージ・セット。ノーメイク時代は基本的にバンドのパフォーマンスだけで勝負していましたが、“HOT IN THE SHADE Tour”は70年代/再結成後を彷彿とさせる巨大プロダクションを導入。ステージの中央には高さが約18メートル(ほぼガンダムの身長ですね)もある巨大なスフィンクス「レオン」が睨みを効かせる。「レオン」は口から4人を吐き出し、無数のレーザー光線を飛ばし、ショウの終盤「Detroit Rock City」で崩れ去って巨大なKISSロゴと入れ替わる。まさに70年代KISSの外連味を80年代の技術とセンスで甦らせたような一大スペクタクル・ショウなのです。
ノーメイク時代のスタンダード・メンバーであったエリック・カー/ブルース・キューリックが揃いつつ、メイク時代にも負けないド派手な仕掛けショウを繰り広げていた“HOT IN THE SHADE Tour”。「ノーメイクKISSを映像で観る」という意味では、最高のツアーでした。オフィシャル版と会場まで同じでありながら異なる姉妹映像の最高峰更新マスター。どうぞ、存分にお楽しみください。
★「1990年5月18日オーバーンヒルズ公演」のマルチカメラ・プロショット。公式『KISSOLOGY VOLUME 2』収録版とは半年違う別公演で、新発掘の関係者流出マスターは、映像美の鮮度もサウンドも過去最高峰を軽く更新。巨大スフィンクス「レオン」による大仕掛けや「Rise To It」「Under The Gun」などの貴重曲も美味しいフルショウをたっぷり楽しめます。