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日本風景論/志賀重昴/古典文学からの豊富な引用と地理学の術語を駆使し日本の風土がいかに欧米に比べて優れているかを情熱的な文章で綴った
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昭和52年 復刻版 2分冊 144P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
札幌農学校出身の地理学者志賀重昂（一八六三―一九二七）が，古典文学からの豊富な引用と，地理学の術語を駆使し，日本の風土がいかに欧米に比べて優れているかを情熱的な文章で綴った本書は，日清戦争の勝利と三国干渉という時期に刊行されてベストセラーとなった．日本人の景観意識を一変させるとともに日本の近代登山の先駆けとなった著．
「山」 と 「日本風景論」
最近の山登りの発展は、まことに目覚しいものがある。ひとことでいえば、四季を問わず、山は人に埋もれて いる、といっても過言ではあるまい。人間が山の自然に接し、その壮大な美しさの中に、限りない喜びを見出す ことは、これほど幸せなことはない。また、国内の山々における一般の登山の隆盛だけに止どまらず、日本の登 山者の足跡は海外の山々にまで及んでいる。地球上の第三の極地と呼ばれる最高峰エベレストを始め、世界の屋 根ヒマラヤにおける日本人の活躍は、海外の登山界から注目のまととなっている。
山と日本人との関係は、古く石器時代にまで遡るのだが、いわゆる近代登山という風潮が日本に起こったの は、明治の中葉ごろであり、現代の登山の隆盛の、その源流をたどると、地理学者志賀重昂が明治二十七年に著 わした一冊の書物――『日本風景論』にほかならないのである。
近代登山とは、山登りそれ自体の中に喜びを見出す文化的行動である。元来、日本にも山登りはさまざまな型 で行なわれてきた。古来からの宗教登山を始め、山林巡視、薬草採取、鉱山調査、狩猟、そのほか明治になって からの地質調査や、地図製作のための測量登山などであるが、こういった特別な目的を持たず、山登りのための 山登りが、ここにいう近代登山なのである。
志賀重昴は、山登りに直接深い経験を持った人ではなかった。しかし日本に近代登山の種をまいたのは志賀重 昴であり、その種こそは『日本風景論』だったのである。
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