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川合玉堂展/日本の風景の情緒を最もよく表現した画家・川合玉堂の70年近い画業を代表的な作品約百点に素描など約10点を加えて回顧するもの
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1998年 165P 巻末英文 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
ごあいさつ
明治六年(一八七三)愛知県に生まれ、岐阜で育った川合玉堂は、一三歳から京都の望月玉泉のもとに通って絵を学び始め、一七歳で幸野楳嶺入門して明治二九年東京に出て、狩野派の出身で岡倉天心らとともに新しい日本画の確立に努めていた橋本雅邦に師事しました。
日本・東洋の絵画の本質を毛筆の線や墨の調子に求めた玉堂は、水墨を基調とした描法に四条派や狩野派の伝統と近代的な写生感覚を融合させ、詩情豊かな風景画で名を高めて、明治四〇年の文展開 設時には三三歳の若さで審査員となりました。そして大正期には琳派風の装飾的な表現なども試みて線と色の調和をはかり、昭和一〇年代には、日本の湿潤な空気と四季折々の情趣あふれる色彩を見事にとらえた傑作を数多く描きました。また、昭和十九年の疎開からは終生奥多摩の地にとどまり、自然とともにある人々の生活を、温雅な墨と明るく澄んだ色彩のとけ合いの中に親しみ深く描き続けました。
玉堂は日本の風景の情緒を最もよく表現した画家のひとりと評価されています。昭和三二年(一九五七)に玉堂が亡くなったとき、鏑木清方は「日本の山河がなくなったような気がし、日本の風景が なくなってしまったような気がする」と言って惜しみました。
この展覧会は、川合玉堂の七十年近い画業を、代表的な作品約百点に素描など約十点を加えて回顧するものです。玉堂の没後四十年を経過した今日は、自然と人間との共生を真剣に考えねばならない時代でもあります。日本の自然のこまやかな美しさと、日本画の表現力を信じ愛した玉堂の芸術は、私たちが失いかけている大切なものを教えてくれるようにも思われます。この展覧会の開催にあたり、企画協力を賜りました玉堂美術館、財団法人玉堂会をはじめ、貴重な作品を快くご出品いただきましたご所蔵者ならびに関係各位に心より感謝の意を表します。
一九九八年三月
愛知累美術館
中日新聞社
東海テレビ放送
東海ラジオ放送
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