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稲むら燃ゆ・海嘯と闘った男浜口梧陵の軌跡/安政年間には郷里紀伊有田郡広村に大防波堤をきずき,また焼失した江戸の種痘所を再建した
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平成10年 16ｐ 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
1820－1885 幕末-明治時代の公共事業家,実業家。
文政3年6月15日生まれ。下総(しもうさ)銚子(千葉県)で家業の醤油(しょうゆ)醸造にたずさわり,嘉永(かえい)6年(1853)浜口儀兵衛商店(現ヤマサ醤油)の7代目をつぐ。安政年間には郷里紀伊(きい)有田郡(和歌山県)広村に大防波堤をきずき,また焼失した江戸の種痘(しゅとう)所を再建した。明治3年和歌山藩権(ごんの)大参事,12年初代和歌山県会議長。明治18年4月21日死去。66歳。名は成則。字(あざな)は公輿。
【格言など】財は末なり,信は本なり,よろしく本末を明らかにすべし
出典 講談社
被災者救済
第三節 広村防波堤
梧陵は、稲むらに火を放ったその足で、すぐさま隣村の法蔵寺へ行き、 貯蔵米十数石を借り入れ、にぎりめしを作って、避難している村人たちに 配ってまわった。さらに今後の避難生活を考えて、深夜、中野村(現在の 広川町上中野)の庄屋に懇願して、年貢米五十石を借り受けている。
被災後二、三日経つと、八幡神社や法蔵寺に避難していた村人千四百人 の中に、寒さと飢えを訴える者も出始め、引き続く余震と「再び大津波が 襲ってくる」というウワサで精神的にも疲弊している様子がうかがえるよ うになった。梧陵は、そうした村人たちを慰める一方で、炊事の指導や藩 の役人との救済対策の話し合いなどに奔走した。
そして、余震もおさまった十一月八日に、ようやく村人たちは各自家に 戻り、後片付けを始めるようになる。 村が復興への第一歩を踏み出したの である。しかし、被害を受けていない家はほとんどなく、家財道具が流失 し、柱が傾き、壁が落ちていては、どこが自分の家であるか見分けがつく はずもない。この惨状にショックを受けた漁民の中には、離村を言い出す 者も現れ、また、流失品をめぐり不正や争いが絶えなかったという。梧陵 は、村人からの苦情や相談を受けるため、仮役場を設け、 人夫の配置を指 揮した。
また、借り受けたわずかな米だけでは、どうにも村人たちの空腹を満た すことはできないことから、梧陵自ら、先例となるように玄米二百俵を寄 付した。その他にも、梧陵は、漁船や農具を村人に買い与えたり、家屋修 復の際の援助金を出すなど、村人救済のために巨額の私費を投じている。
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表紙小傷程度で特に目立った傷や汚れはありません。53471新
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