以上のように、1973年ツアーは全11公演。彼らの来日公演は、多くても7公演ほどが定番な中、ズバ抜けた公演数で列島を縦断したツアーだったのです。そんな本作を録音したのは、PINK FLOYD伝説の札幌公演を記録したテーパー。『COLD FRONT』、そして近年リリースの『SAPPORO 1972: DIRECT REEL MASTER』でも有名な、あの歴史的名録音のCHICAGO篇であり、同じオープンリールで録音されたものなのです。しかも、今回は初登場のオリジナル・マスター。この日の既発では丸ごとカットされていた15分超の長尺版「A Hit By Varese/Free」も収録され、過去最高・最長・最良のライヴアルバムなのです。
そんな札幌のオーディエンスを前にした熱演にも、“1973年”が色濃い。当時は『VI』を完成させつつ、リリースの2ヶ月前というタイミングでしたが、そのセットリストは『V』の名曲を軸としながら、『VI』からの「Just You 'N Me」や「Rediscovery」、さらには次作『VII』の「Aire」まで披露。それ以前のレパートリーにしてもオフィシャルの名盤『LIVE IN JAPAN』では聴けない「Now That You're Gone」も取り上げており、まさに“オリジナル・ラインナップ時代の総決算”となっているのです。それ以上に驚きなのが、冒頭を飾る「Magical Mystery Tour」。もちろん、ビートルズの超名曲です。CHICAGOの無名時代から演奏されたことは分かっているものの、正式には録音されることなく、現在でも何回演奏されたか定かではない激レア・カバー。それがサウンドボードにも匹敵する超クリアサウンドで聴けるのです。
後のAOR路線とは違い、ある種プログレッシヴでさえあった熱いロック、70年代初期だけの熱気をストレートにぶちまける“オリジナルCHICAGO”。その集大成にして、極上サウンドの1本です。2度目の来日公演を収めた公式盤『LIVE IN JAPAN』にさえ匹敵する本生100%の大傑作。“1973年の札幌”にだけたゆたっていた大気を直接スピーカーから吐き出すヒストリカル・アルバム。この薫り、この空気、このヴァイヴ。永久に色あせないプレス2CDに封じ込めました。どうぞ、今週末は胸いっぱいに吸い込んでください。
Disc 1 (44:49)
1. Intro 2. Magical Mystery Tour 3. State Of The Union 4. Just You 'N Me 5. Aire 6. Beginnings
7. Rediscovery 8. Now That You're Gone 9. Saturday In The Park
Disc 2 (47:58)
1. A Hit By Varese / Free 2. Dialogue (Parts I & II) 3. 25 Or 6 To 4
4. Ballet For A Girl In Buchannon
Peter Cetera - bass, guitar, vocal Terry Kath - guitar, Vocal Robert Lamm - Keyboard, vocal
Lee Loughnane - trumpet, background vocals, percussion James Pankow - trombone, Keyboard
Walter Parazaider - saxophones, brass Danny Seraphine - drums, percussion