そんな本作に吹き込まれているのは「1997年3月17日ハリウッド公演」。その極上オーディエンス録音です。「1997年のハリウッド」と言えば、大ヒット作『COMPLETE HOLLYWOOD 1997(Black Box 033)』も記憶に新しいところですが、本作は(同会場ながら)別日・別公演です。普段ならドゥギー時代の全景スケジュールから始めるところですが、良い機会でもありますので今回は1997年に絞り込み、当店コレクションも整理してみましょう。
・2月20日『FIRST GIG AT OLD BRIDGE(オールドブリッジ)』
・2月21日+22日(2公演)
・2月26日『BURN IN WAREHOUSE(トロント)』*DVDR
・2月27日『LIVE AT THE MACHINE(マシロン)』
*2月28日『FINAL CHAPTER(コロンバス)』
・3月1日:デトロイト公演
・3月2日『STRANGER IN SCHAUMBURG』*DVDR
・3月6日-16日(7公演)
*3月17日:ハリウッド公演 ←★本作★
*3月18日『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』
・3月19日『OVER THE EDGE(パロ・アルト)』*DVDR
ー約2ヶ月後ー
・5月31日『MAYBE NEXT TIME(デンマーク)』
《RAINBOW解散→BLACKMORE’S NIGHT始動》
※注:各日とも代表オーディエンス記録のみ。また「*」印はプレスCDタイトル。
これが「ハードロック・ギタリスト:リッチー・ブラックモア」最後の年となった1997年の概要。約1ヶ月の北米ツアーと、ラストショウだったデンマーク公演の合計19公演でした。その中で本作が記録されたのは北米ツアーの最後から3公演目。『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』の前日(同会場)にあたるコンサートでした。実のところ、翌日“3月18日”は『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』の他、伝統のFMサウンドボードもあるなど複数の音源があったのですが、本作の“3月17日”はこれまで知られてこなかった。衝撃の新発掘アルバムなのです。
まさに『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』の姉妹的なショウだったのですが、実はサウンドも酷似しているからびっくり。『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』をご体験の方ならもう心を決められたと思いますが、あの「サウンドボード超え」と言われた超タイト&ド密着サウンドに瓜二つ。生々しい喝采からオーディエンス録音とは分かるものの、綺麗なセパレートも、微細部まで克明なディテールも、ゼロ距離感も、すべてあの超名盤に匹敵する。録音者までは判明していませんが、同じテーパーだったとしても不思議はない……と言いますか、そうでないと不自然なほどに酷似した姉妹作なのです。
とは言え、大筋で同レベルではあっても細かく聴けば甲乙もある。まず、『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』より優れているのはヴォーカル。タイプとしては酷似しているものの、本作の方がより通りが良く、輪郭がクッキリしている。もちろん『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』でも完璧に思えましたが、本作はアンサンブルの中から突き抜けてくる鮮やかさがある。恐らくは現場ミックス卓のツマミなのでしょうが、より「ヴォーカル・アルバム」な感触なのです。その一方で『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』に半歩及ばなかったのは終盤。ネットに登場した原音にはプチッというノイズが散見していたのです。もっともこの点を放置するはずがなく、ピッチ補正など共に細心マスタリングで可能な限り補正済み。ネット原音でイライラしてしまった方でもじっくり聞き込める最高峰版に仕上がっています。
そんなベスト・クオリティで描かれるのは、2日目『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』をタイトに絞り込んだようなフルショウ。ここでセットを整理しておきましょう。
●DEEP PURPLE
・Mistreated/Woman From Tokyo/Lazy/Perfect Strangers
●RAINBOW
・ロニー時代:Long Live Rock 'n' Roll/Man On The Silver Mountain/Temple Of The King
・グラハム時代:Since You Been Gone
・ジョー時代:Spotlight Kid/Difficult To Cure/Street Of Dreams
・孤高のストレンジャー:Wolf To The Moon/Still I'm Sad/Black Masquerade/Ariel
・その他:OJ (Hey Joe)/Blues
……と、このようになっています。途中までの「Woman From Tokyo」や触りだけの「Lazy」のような曲もありますが、比較のために『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』と同じ基準で整理しました。ざっくばらんに言いますと、『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』から「Maybe Next Time」や「Burn」「Smoke On The Water」を削った感じ。特に不機嫌な感じではないものの、「Perfect Strangers」の後でいきなり「Street Of Dreams」を始めてしまうアンコールには「あれ?もう?」という感じもします。
『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』はFM放送を超えたサウンドと長尺ぶりが衝撃でしたが、ショウ1回の完全形でもまだ終わりではなかった。本作はサウンドも内容も酷似したまま、さらに前日まで拡張して「ハリウッド2DAYS」を完全体験させてくれるのです。リッチーがハードロック・ギタリストとしてのキャリアに区切りを付けようとしていた刹那。どうぞ、超極上の新名盤2連作でたっぷりご体験ください。
★名作『COMPLETE HOLLYWOOD 1997(Black Box 033)』の前日「1997年3月17日ハリウッド公演」の極上オーディエンス録音。これまで録音の知られていなかったショウを伝える新発掘マスターで、クオリティも衝撃。「サウンドボード超え」と言われた『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』に酷似した超タイト&ド密着サウンドで、ヴォーカルの関しては本作の方がより通りが良く、輪郭がクッキリ。本作自体がHRギタリストとしての最後の輝きを放っていたリッチーの新名盤であり、『COMPLETE HOLLYWOOD 1997』と併せてハリウッド2晩を丸ごと極上体験できる姉妹作です。